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レモン、オレンジなどにソラレンが多く含まれているという誤情報
インターネット上では特に厚い皮を持つ柑橘系、例えばグレープフルーツやレモンなどに多く含まれているといわれているソラレンを摂取すると中毒になるという情報があります。このためソラレンを多く含む柑橘系を食べることは避けるようにとの記載が目立ちます。
しかし柑橘系がソラレンを多く含むのかという点は懐疑的であると考えています。
以下に美白の観点から公開されたものですが、駒沢女子大学の西山教授の発表した記事を紹介します。
参考:「果物や野菜に含まれるソラレンの量はどのくらい?」にお答えします【拡散希望】
この情報は凄いですね!間違った報道をしたテレビや他メディアにも訂正してもらっているんですね!
ネット媒体などが間違った情報をそのまま書き写して記事なりにしてしまうことが問題であると感じています。
今のインターネット社会では恐らくどの業界でも同様のことが起こっていると思いますが、ペットフード業界でも例外ではないかと思います。
私も専門の方と話して得た知識を記事にしているので、自分が全て正しいとは思っていませんが、ペットフードに関するサイトでも余りに裏付けのない情報が当たり前のように出ていますから、それを鵜呑みにしてしまう飼い主さんもいて弊社まで質問がくるということも非常に多いです。
特にペットフードに関する知識は獣医師の先生やフードメーカーによって考え方も違う世界で、動物実験も行わなくなった現在では一概にどの情報が正しいと言えない部分もあります。
ネットが当たり前の時代になってしまってから、本当に正しい情報がどこにあるか判断することが難しくもなりましたね。
さて、上記URLは美白の観点から公開されてはいますが、食べることを前提にしていますのでその値は参考になるかと思います。
キウイに至っては皮の有無を問わずソラレンは検出されていません。オレンジ、いちじくは無視できる量。レモンは0.033mg/100gといった具合です。
柑橘系フルールには可食部には含まれていないか、少量ですが、皮には多くのソラレンが含まれていますので、皮を食べる製品があれば注意が必要です。
グレープフルーツだけ要注意
グレープフルーツは2.19mg/100gと、他柑橘類、フルーツと比べると多めに配合されています。グレープフルーツジュースにした場合で0.2~1mg/100gです。
犬に影響の出るソラレンの量が明確にわからない
難しいのは「犬に影響の出るソラレンの量が明確にわからない」ことです。
これを危険ととるのか、そうでないと思うかは飼い主に委ねられる点であるかと思います。
グレープフルーツを食べて犬がソラレン中毒になったという報告が見つからない
また、グレープフルーツの可食部は問題ないと書かれているサイトも非常に多く、この情報を見て与えている方も大勢いるのではないかと思いますが、グレープフルーツを食べて犬がソラレン中毒になったという報告がありません。
このことからも、通常考え得る可食量ではソラレン中毒にはならないと考えるのがよさそうです。
因みにグレープフルーツを使用したドッグフードはあまりないと思いますが、NOW FRESHのグレインフリー アダルトなんかはグレープフルーツが使われているようです。
しかし記載順からも配合量はかなりの少量であると予想できますし、ドッグフード自体は世界中で相当数が販売されているでしょうから、それで問題が起こっていないということであれば検出がされないか無視できるほど微量なのだろうと考えています。
ソラレンは熱に弱く、加熱で減少する
ソラレンはフロクマリンの一種ですが、癌医療情報リファレンスにて、ワーレン・アルパート・メディカル・スクール・オブ・ブラウン大学皮膚科の博士研究員Shaowei Wu氏が行った試験の結果、「これらの野菜は調理で用いられることが多いですが、熱を加えることで食物に含まれるフロクマリンの量が減少します」と述べています。
また、参考:フロクマリン類の含有量を低減したイチジクの製造方法 でも加熱、乾燥でフロクマリンの含有量を低減するとあります。その製造方法が以下です。
イチジクを95℃〜100℃の蒸気で加熱する加熱工程と、前記加熱工程で加熱したイチジクの温度を35℃〜60℃に維持して攪拌しながら乾燥する第1乾燥工程と、前記第1乾燥工程で乾燥したイチジクを、55℃〜65℃で乾燥する第2乾燥工程とを包含するフロクマリン類の含有量を低減したイチジクの製造方法。
ドッグフード、キャットフードなどのドライフード製造では加熱が必要不可欠であり、ドライフード製造のためのフルーツもそのままでは使用できないので、乾燥してから使用します。
こうしたことからも柑橘系フルーツが使用されていても、原材料の割合が0.1~0.0数%程度と限りなく少ない場合が多く、ソラリンは計測されないか無視できるのではないかと考えられます。
それでも避けようと考える場合には、グレープフルーツ、パセリ、ライム、レモン、セロリあたりを気にすれば問題ないと考えられ、これらを使用したドライフードはほとんどないことからも、問題はないものと考えられます。
クエン酸が犬に良くないという誤情報
少し話しが逸れますが、柑橘系フルーツ繋がりで、クエン酸が犬によくないといった情報も見られますが、動物用飼料1kg中30gまでであれば問題ないとされています。
1kg中30gというと全体の3%にもなり、それほどのクエン酸を配合することはないかと思いますので、問題はないといっていいと思います。
別途で大量に与えるようなことがなければ、通常時では気にする必要はありません。
通常のフルーツの使用量は非常に少ない
そもそも原材料にフルーツやハーブなどが記載されていたとしても、特殊なレシピでない限りは、その使用量は0.1%以下などもっと少ないことも多分にあり、非常に少量であると思います。
そもそもですが、ドライフードを世界的なOEM工場で製造する場合、よほど特殊な原材料の使用を希望しない限りは、使用前例があり、安全が担保されている原材料からしか選択することができません。
配合量もしかりです。
工場は原材料で無理をしない
工場はなかなか原材料でチャレンジはしてくれません。
工場としても全世界に販売している以上、ひとつのフードで問題を起こすわけにはいかないからです。
私がペットフードのレシピを作る場合にも、あくまで長期にわたる使用前例があるリストの中から選択したに過ぎません。
こうして犬猫のみならず、ペットフード事業者や工場自体も不測の事態から守られています。まぁ工場もメーカーも怖いのでやらないということもあると思いますが。
また、国内工場など小さな工場であれば、世界的な大工場と比べれば試行錯誤にのってくれるのではと思います。
海外では作れない、作りたくない場合はハッキリNOと言われる
私が工場を巡って原材料の配合可否について質問をしても、もし配合が駄目なら「NO」とハッキリ言われます(笑)
もちろん一定の理由を説明されまずが、それ以上は取り付く島もありません(笑)調べるのが面倒なのかと思うくらい「NO」なので、それ以上聞く気も起きなくなります。
当りが強そうですね…(笑)
まぁ向こうは大企業ですから、強気な姿勢であることも感じましたが(笑)その位ガイドラインを守っているともいえると思います。
例えばリコールに関しても、「その原材料が偽造品だった(中国の例)」「カビが生えていた」「加工原材料に混入があった」など、何かしらの問題があった場合のリコールです。
普通の野菜や肉、フルーツの栄養素が犬へ健康被害を及ぼしたといった問題でリコールになった例はないと思いますので、特殊なフードでなければ安心できると考えられます。
犬に与えてはいけないというアボカドをアピールポイントにしているドッグフードでも、その成分が問題でリコールになったことはないはずです。※サルモネラ菌検出でリコールがあったようですが、それは原材料そのものの栄養素とは別です
もちろん何年も先に新しい事実がわかってあれが駄目だったなどという事実はでてくるかもしれませんが、それは犬猫動物に限らず人間も同じですし、良くなっていくに越したことはないので、徐々に情報も変化・進化していくかもしれませんね。
まとめ
- 必ずしも柑橘系にソラレンが多く含まれているわけではないので正しい情報を知ることが大切
- 柑橘系の皮部分には多く含まれる
- 気をつけたい場合はグレープフルーツ、パセリ、ライム、レモン、セロリに注意
- フロクマリンの一種であるソラレンは加熱で減少する
- 生ものを与える場合はとにかく、ドライフードにおいてはソラレンを気にする必要はないと考えても問題がないと考えられる
ドッグフードではソラレンを気にする必要はないと考えられることがわかりました。もし生の果物や野菜を与える場合にはグレープフルーツ、パセリ、ライム、レモン、セロリあたりには注意してみるといいかもしれません。