エトキシキンとは?
BHA、BHTに引き続き紹介するのはエトキシキンです。
エトキシキンもBHA、BHTと同じ上限値が定められていますよね。
エトキシキンは有機窒素化合物で抗酸化剤として使われています。その他農薬としても使われていますし、自然発火しないように発火防止剤としても使用されています。
発火防止剤ですか?
魚粉を船で輸送する際に、乾燥した魚粉が自然発火することを防ぐために、エトキシキンを使用することが国際規則で定められています。これら魚粉は飼料やペットフードに使われています。
また、リンゴや梨の焼け防止、殺菌などにも使われています。
しかし日本では食品添加物、農薬としての登録は受けていません。国内では飼料添加物の抗酸化剤として指定されています。
動物を用いた多様な試験
エトキシキンはイヌを用いた2世代生殖毒性試験実験が行われ、最少毒性量は2.5mg/kg体重/日とし、これに安全係数300を適用したことでADIは0.0083mg/kg体重/日とされています。この他にもマウス、ラット、イヌ、鶏、ウサギなど動物を用いた薬物動態、遺伝毒性、急性毒性、亜急性毒性、慢性毒性及び発がん性、生殖発生毒性、また、牛・豚・鶏・羊及び魚介類の残留などの試験が行われています。
参考:飼料添加物・農薬評価書 エトキシキン 内閣府食品安全委員会(外部サイトpdf)
かなり多種多様な試験が行われているんですね。動物実験は当然いいと言えたものではありませんが、過去にこれだけ行われていれば安全な気もするんですが…
試験結果の受取り方は国や人それぞれですので対応が違っている点もありますね。日本は特に厳しくなっています。
エトキシキンの毒性
- チャイニーズハムスター卵巣由来細胞及びヒト末梢血リンパ球を用いた染色体異常試験及びマウスリンフォーマTK試験においては陽性
- in vivo 試験では、幼若ラットの肝臓を用いた小核試験において弱い陽性
- エトキシキン(又はその代謝物)は、染色体異常を誘発するが、DNA に直接損傷を与えて遺伝子突然変異を生じさせる可能性は極めて低く、染色体異常誘発は、タンパク質への作用を介した間接的な要因による
- エトキシキンは、ラットを用いた 30 か月間慢性毒性/発がん性併合試験の雌において膀胱への発がん性が示唆
- ラットを用いた膀胱二段階発がん性試験において、エトキシキンのみを投与した群で、膀胱に単純過形成及び乳頭状・結節性過形成が認められた
日本では飼料用の抗酸化剤として指定
このように日本では登録を受けていないため、目にすることのないエトキシキンですが、飼料用の抗酸化剤としては指定されています。
このため定められた上限値内であればペットフードにも使用されていても法的な問題はありません。
人に使用できないものが飼料やペットフードとしては使用できるんですね。
飼料としての試験は以下参考のようにエトキシキンの家畜への移行調査なども行われています。
参考:エトキシキンの牛への移行調査 報告書 農林水産省(外部サイトpdf)
このように科学的に根拠のある値が設定されて使用されていますが、消費者、また飼い主の方の心配という点はつきません。
心配な理由のひとつがエトキシキン許容量
その理由のひとつが許容残留量です。
人の食品におけるエトキシキン残留基準値はほとんどの食品が0.05ppmで最大でも魚介類で1ppmにも関わらず、ペットフードにおけるエトキシキン添加許容量はドッグフードは75ppm、キャットフードはなんと150ppmとなっています。
上記の参考資料から、定められている用量を守っている上では問題がないものとしていますが、ある一定量の摂取をすることで牛自身に残留することが出ていますので、今後は上限値が下げられることがあるかもしれません。
まとめ
- 抗酸化剤、農薬として使用されている
- ペットフードにも上限値を設定の上使用されている
- 人の食品の残留基準値は最大で1ppmにも関わらず、ドッグフードは75ppm、キャットフードは150ppm
日本では厳しく扱われているエトキシキン。日常生活でも耳にすることのない成分ですが、飼料添加物、ペットフードでは抗酸化剤として使用されています。人の食品へ残留基準値とペットフードへの添加許容量に差があり、今後は上限値が下げられることもあるかもしれません。