最近添加物についての質問が時々寄せられるようになりました。それも家族(飼い主)の知識が増えてきて、愛犬・愛猫に与えるものがどんなものなのかが気になっている人が増えている証拠であるかと思います。このサイトを立ち上げた時の私の目的が、飼い主の意識向上でしたので大変嬉しく思っています。
私も最近新しく始めたレシピ開発などで多くの添加物メーカーの方や調剤士の方とお話をさせていただいていますので、皆さんに共有していきたいと思います。
様々な添加物がありますが、まずは鉄から勉強してみたいと思います。
目次
鉄を添加する場合はなにを足す?
鉄にはヘム鉄と非ヘム鉄があります。ヘム鉄の方が還元型のため吸収率がずっと高く、肉や魚から直接摂取するという意味ではヘム鉄の方が摂取した方が良いと言えるでしょう。
ただし添加物となると基本的には非ヘム鉄が使われています。
ヘム鉄は鉄と有機化合物の錯体で肉や魚に含まれていますが、添加物となると価格が非常に高く、原料の匂いも鉄特有の風味も非常に強くて扱いにくいという側面があります。
結果的にそうしたマイナス面を乗り越えても摂取するサプリメントのようなもの以外ではヘム鉄の添加物は使用されず、食品ではほとんど使用されていないと思います。
添加物としては非ヘム鉄が主に使われる
そこで非ヘム鉄が添加物として使われます。
非ヘム鉄はヘム鉄と比較すれば吸収率が低いですが、鉄特有の風味が弱いため、添加物としても使いやすいというメリットがあります。
ただし多くが水溶性で水に溶けやすいという特徴があり、非ヘム鉄は水に溶けることで鉄臭さが出るため、添加方法や他の食材との組み合わせが大切です。
一部のフレッシュペットフードによく使われるピロリン酸第二鉄
非ヘム鉄の添加物の多くが水溶性ですが、その中でピロリン酸第二鉄は難溶性であり、水に溶けにくいという特徴があります。
非ヘム鉄は水に溶けると鉄臭さが出てしまうことから、フレッシュペットフードなどでは水に溶けにくいことでピロリン酸第二鉄を使用することで鉄臭さを抑えることができます。
水分が多い食品では沈殿してしまう
ただ問題もあります。水分が多い食品の場合は水に溶けないために沈殿してしまいます。
色も黄褐色なので目立ちます。
ジュースのような飲料やスープ系に添加すると沈殿してしまうってことですね。
このためフレッシュやウェットなら必ずピロリン酸第二鉄というわけではありません。適材適所、調理法や原材料に合わせて選定する必要があります。
ピロリン酸第二鉄とは
製品名 | ピロリン酸第二鉄 |
---|---|
英名 | Ferric Pyrophosphate |
CAS番号 | 10058-44-3 |
分子式 | Fe4(P2O7)3 |
分子量 | 745.22 |
鉄の含有量は商品によって違いがありますが、概ね20~30%程度鉄が含まれています。
ピロリン酸第二鉄は2020年7月14日にリスクの低い有効成分としてピロリン酸第二鉄を認可しました。ピロリン酸第二鉄は難分解性と考えられますが、人の食事の天然成分であるイオン類に分解され、動物及び植物の機能に必須としています。
参考:欧州連合(EU)、リスクの低い有効成分としてピロリン酸第二鉄の認可を公表 食品安全委員会
特に安全性の確認が必要なベビーフードや粉ミルクにも使用されています。他にもカプセルや錠剤でも使用しやすい添加物です。
他には水分を足す必要のあるグラノーラなどでも鉄臭さが出ないので鉄補給のために使用されたりしています。
赤ちゃんの製品に使われているとなるとそれだけで安全性が感じられますね!
ピロリン酸第二鉄はドライフードではあまり使われない
ピロリン酸第二鉄は安価ではないので、ドライフードのようによく混ぜ、加熱するような商品の場合は水溶性の硫酸第一鉄などがよく使われます。
それならピロリン酸第二鉄を使っている商品の方がいい商品なんですか?
こうなるとピロリン酸第二鉄を使っているものは意識が高く、高価な商品なのか!という意見が出がちですが決してそういうわけではありません。
上記で紹介した通り、食材や製品との相性、使いやすさで選ばれています。
他の鉄添加物もこれから紹介していきたいと思います。