副産物の価値
副産物とは、基本的には価値が高い方が主産物、価値が低い方が副産物と整理されます。副産物は主産物を作る上で生じる物品です。
キャットフードやドッグフードにも使われるビートパルプは甜菜から砂糖を取り出したガラですよね!
主に価値が高い方が主産物、ついでに出る価値の低いものが副産物という考え方がされるので、非常に悪いもののように思われています。よく副産物について質問されることがあり、どうしてもこの溝を埋めることができないので、ここで話してみようと思いました。
先日お会いしました麻布大学名誉教授の押田先生著「Dr.Ossy 畜産・知ったかぶり」に非常に面白い表が書かれています。
材料 | 主産物 | 副産物 |
---|---|---|
牛 | 食肉 | 皮革 |
原油 | 重油 | ガソリン |
石炭 | コークス | コールタール |
稲 | 米 | ワラ |
玄米 | 白米 | 米ぬか |
大豆 | 豆腐 | おから |
海水 | 食塩 | もろみ |
牛の副産物が皮革ですか!原油の副産物がガソリンというのも面白いですね!
このように副産物は製造がついでのようであるだけで、副産物に価値が生まれれば「副産物」という言葉のイメージとは離れたものになっていきます。
廃棄物が副産物へ
副産物の中にはもともと廃棄されていたものもあります。例えばホルモンなんかは誰も食べずに捨てられていましたが、今では多くのホルモン屋が賑わっています。ものが悪かったということではなく、誰も食べなかったから廃棄されていましたが、今ではすっかり好物である方もいます。
私も大好物です!もつ鍋やホルモン焼き肉も大好きです!
このように価値ができることで「廃棄物」は「副産物」に変わります。副産物の出来る量は主産物に準じますので、副産物自体の需要には左右されません。このため、需要と供給によって顕著に価格が上下します。
こうした中でもビートパルプは100%飼料利用されている農産廃棄物(副産物)です。さとうきびの残渣であるバガスは90%が燃料利用され、一部が堆肥にされています。使われないものは焼却処分されてしまうため、飼料や燃料として使用できるよう検討していく必要があります。
限りある資源をいかに無駄なく使うかはとても大切な課題なんですね。
畜産副産物の行方
だんだんと副産物だから悪いというイメージは取り除かれてきたでしょうか。次にお肉に関する副産物の話をしてみたいと思います。
基本的にはと畜した時の枝肉が主産物になります。正肉と、必要に応じて骨です。それ以外の部分が副産物となりますので、可食の内臓、血液、皮革、脂肪、羽などです。
人間が食べる部分以外の箇所って感じですね。
可食部分は食品として利用されますが、それだけでなく、食器やラケットのガット、楽器、骨を材料としたボタンや印鑑などにもなります。
こうして多くのものが副産物から作られ、作られたそれは副産物とは考えられないようなものにもなっていきます。
危険と考えられるのは処理方法など
副産物が危険であると言われたり、考えられる方がいる理由のひとつに、副産物の処理方法があります。
例えば「薬品を使って成分を絞り出す」といった手法に疑問を抱く方が多いようです。これらに関しては誤解もあれば正しい内容もあるかと思いますので、また改めて話してみたいと思います。
資源は無駄なく利用する
副産物という言葉が非常にマイナスなものですが、今紹介したように副産物を主原料として作られるものは多くあります。副産物とはあくまでなにかを作る時に出る、もうひとつの原材料と考えてはいかがでしょうか。
出来る限り再利用できるようにしていくのは畜産に限らず多くの産業における課題のひとつとなっています。
まとめ
- 副産物は主産物と相互関係にある
- 生産量は主産物により決められ、需要によって上下しない
- このため需要と供給によって副産物の価値は上下する
- 廃棄物に価値が見いだされると副産物になる
- 全ての原材料で余すところなく利用できるようにしていくことが課題
副産物の本当の姿を勉強していきました。副産物という言葉に感じる危ないようなイメージは、必ずしも正しいというわけではないんですね!