目次
GMP認証とは
GMP認証とはGood Manufacturing Practiceの頭文字を取ったもので、日本語では適正製造規範といいます。
医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準であり、健康食品などを製造する場合に、原料受け入れから製造、出荷までの安全、品質の安定を保つために定められた規範(規則)です。
設備や運用方法、保守点検管理、製品の品質衛星製造管理、作業手順などを定め、全ての工程を確認して記録することが求められています。
参考:健康食品の安全性の確保施策(厚生労働省)(PDFファイル)
聞いていたんですが、よくわかりませんでした…具体的にはどういうことですか…?
そうですよね(笑)GMPに関してはそのようにこの概念を理解することが難しいようです。簡単に言えば、IFSやBRC認証のように一定の基準を設け、第三者が監査することで、「誰が作っても問題が起こらず、安定した品質、安全性が保たれるようにする」と言えばわかりやすいでしょうか。
ふたつある?日本における複雑なGMP認証事情
GMPは元々アメリカの食品医薬品庁のFDAが1963年に法制化し、その後WHOが1968年にGMPの制定を決議し、翌年の1969年に各国に勧告しました。
これによって世界中で使われるものとなったわけですが、日本では独自に1972年JGMP(医薬品の製造および品質管理に関する実践規範)を作成。そこから各種変更を経て、新たに「医薬品の製造管理および品質管理規則」(GMP基準)が制定され1980年厚生省令(自主管理基準)として施行されました。
こうして医薬品の世界ではスタンダードとなった基準ですが、日本では認証取得先がふたつあり、これが混乱を招いているという考えもあります。
参考:日本における健康食品GMP問題を考える(一般社団法人日本食品安全協会)
こうしてきくと、若干日本は独自路線を歩いているようにも見えますね。
公益財団法人 日本健康・栄養食品協会
GMPをできるだけ多くの健康食品企業にとりあえず取得させる事を主目的としている。そのため、具体的には監査から認証まで協会自身がすべて、取得を申請したところには厳しい監査とインフラ整備をしなくてもGMPの精神を理解することに重点をおいて認証を行っている。
まずは取得をしてもらい、それから少しずつ状況改善を進めていくという考えでしょうか。まだまだGMPが理解されていない現状において、少しでも普及させていくという姿勢は必要であるかもしれませんね。
一般社団法人 日本健康食品規格協会
できるだけFDA規範に近づけ質の高いGMPをめざしており、具体的には監査を外部委託し、監査姿勢に厳しい体制をしいており、委託された外部団体の監査人はインフラ整備も含め医薬品GMPに近づける形で監査を行ている。
FDA規範に近づけるとのことですし、GMPを取得するという意味においては、こちらの形こそGMP認証らしいと言えるのかもしれませんね。
認証機関がふたつあることの問題点
どちらの姿勢が重要であるということではなく、両方とも正しいと考えられています。
ただ、やはりこれはこれで問題も起こっています。それはそれぞれが独立して利益を上げようとすれば、どうしても価格競争になってしまい、質が落ちると懸念されています。
もう一つのの大きな問題点は、認証を行っている両機関とも健康食品企業から構成される法人であり、その法人が認証を行っている企業は法人に所属している企業である点である。すなわち、監査の方法に大きな違いはあるが、結論としての認証は、結局その法人の構成員に対して出されている点である。ここには、残念ながら最終的な厳しさの要求の困難性を両法人が内在させている。
要するに各認証団体の会員企業にしか認証を出さないので、検査の厳しさにも疑問があるということです。
こうした問題から、これらはやはり公的なGMP認証機関を設立すべきと考えられているようです。
飼料等の適正製造規範(GMP)
医薬品や医薬部外品なら、なぜペットフード工場が取得する必要があるんですか?
日本の場合は飼料等の適正製造規範という設定もあります。
近年、食品の安全確保に関しては、従来の最終製品の検査を中心とする考え方から、HACCP等の工程管理に重点を置いた考え方に変化しており、フードチェーンの一端を担う飼料についても、事業者自らが、原料段階から最終製品までの全段階においてこのような手法を導入し、飼料の安全をより効果的かつ効率的に確保していくことが重要です。
このように食品安全の確保という点においては飼料(日本の法律では飼料とペットフードは別の扱いですが…)の安全性の確保も重要であるとされています。
弊社の使用している欧州工場もGMP認証を取得していますが、その時は「なぜ?」という疑問がわかず、理由を聞くのは忘れました…笑 が、同じ理由であるかと思います。
療法食は医薬品ではないが、EUでは医薬品となるペットフードの販売が始まる
ヨーロッパではペットフードに医薬品を入れることができるように法改正が進められています。
つまり療法食の範囲ではなく、医薬品のペットフードの販売が始まります。
参考:Veterinary Medicines and Medicated Feed (European Commission)
以下に解説もしていますので合わせてご覧下さい。
上記で紹介したEUのホームページの、COVID-19 Pandemicに関して解説しているpdfでも、COVID-19の影響によりGMP認証の監査困難などに関する言及がされていて、動物用医薬品などにおいてGMP認証を取得する必要性があることがわかります。
このようにGMP認証は日本も含めて世界中の健康食品の必須取得認証となってきていますので、ペットフード工場がGMP認証を取得しているかどうかというのも工場を比較する際にはひとつのポイントになってくるかなと思います。
まとめ
- GMP認証とはGood Manufactureing Practiceの略。日本語では適正製造規範
- 医薬品、医薬部外品の製造・品質管理の基準で、健康食品にも用いられる
- 簡単にいうと、誰が作っても問題なく高品質かつ安定した品質で製造することができるようにするためのもの
- 日本には認証機関が二箇所ある
- 飼料等の適正製造規範もある
- EUでは法改正により、ペットフードに直接薬を入れるメディケイテッドフィードの販売が始まろうとしている
GMP認証を取得したペットフード工場が多く、もし工場で比較するのであれば基準になりそうです。確かに誰が作っても高品質かつ安定した品質で製造できる環境というのは非常に大切であると感じました。