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グアーガムとは
グアーガムは、マメ科の植物である「グアー豆(Cyamopsis tetragonoloba)」の胚乳部分から抽出される天然の多糖類です。
粉末状で水に溶けると強い粘性を持ち、食品や化粧品、医薬品など、幅広い製品に利用されています。その粘性の高さから「増粘剤」としての役割が特に注目され、食品業界ではソースやドレッシング、デザートなどのとろみ付けによく用いられています。
このような性質から、ペットフードの分野においてもグアーガムはよく使われています。ウェットフードやピューレ、半生タイプのフードなど、水分が多く含まれる製品では特にその効果が求められます。
ペットフードにグアーガムが使われる理由
一番の理由は「テクスチャーの改善」です。
特にウェットタイプや缶詰タイプのキャットフード、ドッグフードでは、原材料同士を均一に保ち、なめらかな食感を作る必要があります。グアーガムは水と結びつくことで粘性を発揮し、原材料が分離するのを防いだり、食感を向上させたりする作用があります。
また、フードの成形やパウチ・缶内での保持力にもグアーガムは有効です。例えばゼリー状やムース状の質感です。自然由来のグアーガムを使用することで、滑らかで均質な仕上がりを作り出すことができ、食べやすさや嗜好性にも影響します。
さらに、コスト面でもグアーガムは注目されています。比較的少量で高い粘性を得られるため、製造工程においては効率の良い素材とされているのです。
キャットフード・ドッグフードにおけるグアーガム
ウェットフードやピューレ状フード、さらにはおやつなどの中でも、グアーガムはしばしば使われています。
特に高齢犬、高齢猫や幼犬、幼猫向けのやわらかいフードでは、その形状維持や飲み込みやすさの向上が求められるため、グアーガムの粘性が役立ちます。
噛む力が弱い犬猫向けにも
また単に増粘という機能だけでなく、「咀嚼の負担を軽減する」役割も注目されています。
噛む力が弱くなった高齢犬、高齢猫や、乳歯の段階にある子犬、子猫にとって、スムーズに飲み込める柔らかいフードは非常に重要です。
グアーガムは、単なる添加物ではなく、犬猫の健康や快適な食事環境づくりを支える成分ともいえます。
グアーガムはよく使われていることからも、製造側も取扱いになれていて、食いつきの良い狙った質感にしやすいというメリットもあります。
グアーガムの安全性について
現在、グアーガムは日本だけでなく、欧州食品安全機関(EFSA)やアメリカ食品医薬品局(FDA)など、各国の公的機関でも食品添加物として広く認可されている成分です。
ヒト用食品に使用されるレベルで安全性が確認されていることから、ペットフードにおいても問題視されることは少なかと思います。
摂取量について
どんな成分にも共通することですが、過剰な摂取やバランスを欠いた使用は消化への負担となる可能性もあります。グアーガムは水溶性食物繊維でもあるため、摂取量が極端に多いと軟便や下痢の原因になることもあります。とはいえ、通常のペットフードにおける使用量はごく微量であり、慎重に計算された配合がなされています。
また、天然由来であることも安心材料のひとつです。植物由来のグアーガムはナチュラル志向のフードブランドでも選ばれやすい素材です。
無添加志向の広がりとグアーガムの見直し
ここ最近「完全無添加」を謳うフードブランドが増えています。
その中でグアーガムも使用しない製品が見られるようになりました。よりナチュラルな素材を求める傾向は年々強くなっています。
しかし、無添加であることが必ずしもフードの質や栄養価、安全性を高めるとは限りません。
グアーガムは天然由来製品ですが、もっと自然そのもののイメージがある寒天や米粉などを増粘剤として使うことを求める飼い主(ご家族)が増えてきています。
グアーガムは米粉などと変わらない自然由来製品
グアーガムは以下の様に生成される自然由来の増粘剤ですが、合成のイメージを持っている方も少なくありません。
- グアーガムはグアー豆を収穫して機械で脱殻後、胚乳と胚を機械的に分離します。
- 分離された胚乳を細かく粉砕し、微粉末状にします。
- 粗粉砕→中粉砕→微粉砕と段階的に行われることが多く、最終的には数十ミクロンレベルまで細かくされます。
- 粉砕されたグアーガムは、ふるいにかけて粒子の大きさごとに分類されます。
- 食品用、工業用、医薬品用など用途に応じた等級に仕分けされ、それぞれ適切な袋詰めが行われます。食品用のものは特に微細で白色度が高く、衛生管理も厳しく求められます。
グアーガムは製造業者も選びやすい代表的な増粘剤
グアーガムはコストパフォーマンスの良さと安定した品質が評価されており、特に安定した粘性が必要な製品では最有力候補です。
ペクチンや寒天はナチュラル志向の飼い主(ご家族)からは人気ですが、製造工程によっては扱いが難しいため、使いやすく、高い安定性を求めるメーカーも多くあります。
商品それぞれにあわせて選ばれる増粘剤ですが、グアーガムはその中でも多く使用されている増粘剤のひとつとなっています。