目次
フェニルアラニンとは
フェニルアラニン(Phenylalanine)は必須アミノ酸のひとつで芳香族アミノ酸です。
フェニルアラニンは肝臓で非必須アミノ酸のチロシン(Tyrosine)に変換されることで様々な作用が生まれてきます。
このためAAFCOの基準ではフェニルアラニン・チロシンとまとめた基準が設定されています。
出典:AAFCO 2016 AAFCO DOG FOOD NUTRIENT PROFILES BASED ON DRY MATTER(PDFファイル)
フェニルアラニンからチロシンへ
チロシンはメラニン色素の生成に不可欠なアミノ酸です。このため被毛の色にも関係しています。
またチロシンは甲状腺ホルモンなどの合成にも必要です。ノルアドレナリンやドーパミンなど神経伝達物質を合成するためにも必要で、記憶力の上昇や鎮痛効果などもあります。
肝臓で非必須アミノ酸のチロシンに変換されますが、チロシンが十分に摂取出来ていればフェニルアラニンは他のことに利用することができます。
フェニルアラニンを含む食材
鶏肉、牛肉、豚肉、魚、大豆製品、チーズ、牛乳、卵などに含まれています。動物性のものに多く含まれ、野菜類の含有量は少ないです。
鶏ささみやマグロ、カツオなどにも多く含まれるので犬猫共に動物性の食事をしっかり摂っていれば日常で欠乏することは少ないかもしれません。
犬猫とフェニルアラニン
チロシンはメラニン色素の生成に不可欠で被毛の色に関係する
フェニルアラニンからチロシンが合成されますが、チロシンはメラニン色素の材料になります。
メラニン色素のうち黄色から赤のフェオメラニン、茶色から黒のユーメラニンを生成するのに必要なため、被毛の色に関係しています。
特に犬の場合でフェニルアラニンが欠乏すると色素が不足して黒い毛が赤っぽい毛になることがあります。
気分の落ち込みを緩和
フェニルアラニンからチロシンとなり、ノルアドレナリンやドーパミンが生成されます。これらは副腎皮質、脳などに影響するため、気分の落ち込みを緩和したり、記憶力を高める効果などがあります。
フェニルアラニンのペットフード含有量
AAFCOのドッグフードにおける基準値
栄養素 | 乾物ベース単位 | 成長期&妊娠期 最小値 | 成犬の維持期 最小値 |
フェニルアラニン | % | 0.83 | 0.45 |
フェニルアラニンチロシン | % | 1.30 | 0.74 |
参考:AAFCO DOG FOOD NUTRIENT PROFILES BASED ON DRY MATTER(PDF)
AAFCOの基準では子犬、妊娠期は0.83%以上、成犬の維持期は0.45%以上となっています。
またフェニルアラニンチロシンでは子犬、妊娠期は1.30%以上、成犬の維持期は0.74%以上となっています。
AAFCOのキャットフードにおける基準値
栄養素 | 乾物ベース単位 | 成長期&妊娠期 最小値 | 成猫の維持期 最小値 |
フェニルアラニン | % | 0.52 | 0.42 |
フェニルアラニンチロシン | % | 1.92 | 1.53 |
参考:AAFCO CAT FOOD NUTRIENT PROFILES BASED ON DRY MATTER(PDF)
AAFCOの基準では子猫、妊娠期は0.52%以上、成猫の維持期は0.42%以上となっています。
またフェニルアラニンチロシンでは子猫、妊娠期は1.92%以上、成猫の維持期は1.53%以上となっています。
チロシンのみの場合はフェニルアラニンチロシンからフェニルアラニンを引けばOKです。
フェニルアラニンの欠乏症・過剰症
猫では欠乏すると神経機能障害や歩行失調などが見られ、特に極端な活動性を示すことがあります。犬の場合は体重減少などが見られます。
過剰症はないと考えられています。
まとめ
- フェニルアラニンはチロシンに変換される
- チロシンは脳に影響し、鬱の抑制や記憶力向上などの作用がある
- メラニン色素の材料となるため被毛などの色に影響する
- フェニルアラニンはチロシンと一緒に考えられることが多い
脳に影響するため、十分に摂取できるようにしましょう。ただし犬猫の場合、ドッグフード、キャットフード自体に肉類が豊富であり、総合栄養食を食べていて欠乏するということはありません。