目次
トリプトファンとは
トリプトファン(Tryptophan)は必須アミノ酸のひとつです。犬猫ともに食事から摂取する必要があります。
フェニルアラニン、ヒスチジン、チロシンと同じ芳香族アミノ酸(Aromatic Amino Acids、AAA)に分類されます。
トリプトファンを含む食材
動物性たんぱく質に多く含まれていますので、卵、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品、大豆や豆腐、湯葉などの大豆製品、レバー、ごまやカボチャの種、亜麻仁などのナッツ類などに含まれています。穀物にも含まれていますので摂取しやすい栄養素ですが、それぞれ単品だけ摂取して含有量が多い栄養素というわけではないので、あれこれと組み合わせで色んなものから摂取するのがおすすめです。
総合栄養食のドッグフードやキャットフードを食べていて問題になるようなことはありません。
犬猫とトリプトファン
神経伝達物質のセロトニンになる
トリプトファンは脳の神経伝達物質であるセロトニンとなります。セロトニンは視床下部、大脳基底核などに分布し、ドーパミン(喜びや快楽)、ノルアドレナリン(驚嘆や恐怖)を制御し、精神を安定させます。このためセロトニンの低下は攻撃性が高まったり、鬱、パニック症などを引き起こします。
犬や猫の場合でも精神安定の働きがあり、引越しなどでストレスを感じる環境になった時にもトリプトファンの摂取はおすすめです。脳に影響するため、シニアの認知症にもおすすめできます。
尿路疾患への効果
例えば膀胱炎の原因となるストレス緩和という観点からトリプトファンが含まれた食事も推奨され、ドッグフードやキャットフードのドライ、ウェットの療法食などでも見られるようになりました。
またトリプトファンには細菌の増殖を抑制する効果がいわれています。
例:D-Tryptophanによる細菌の増殖抑制メカニズムの解明(pdf)
ナイアシンの合成に必要
トリプトファンは特に犬の場合にナイアシンの合成に必要です。猫でもナイアシンの合成に使われますが、合成能が低いため、ナイアシン自体の必要量が高くなっています。
ナイアシンは水溶性ビタミンBのひとつで補酵素としてエネルギー産生などに関係します。
トリプトファンのペットフード含有量
AAFCOのドッグフードにおける基準値
栄養素 | 乾物ベース単位 | 成長期&妊娠期 最小値 | 成犬の維持期 最小値 |
トリプトファン | % | 0.2 | 0.16 |
参考:AAFCO DOG FOOD NUTRIENT PROFILES BASED ON DRY MATTER(PDF)
AAFCOの基準では子犬、妊娠期は0.2%以上、成犬の維持期は0.16%以上となっています。
AAFCOのキャットフードにおける基準値
栄養素 | 乾物ベース単位 | 成長期&妊娠期 最小値 | 成猫の維持期 最小値 | 上限値 |
トリプトファン | % | 0.25 | 0.16 | 1.7 |
参考:AAFCO CAT FOOD NUTRIENT PROFILES BASED ON DRY MATTER(PDF)
AAFCOの基準では子猫、妊娠期は0.25%以上、成猫の維持期は0.16%以上となっています。
犬と猫を比べると成猫の妊娠期が最も必要量が多くなっています。
まとめ
- トリプトファンは乳製品、大豆製品に多く含まれる
- セロトニンになり精神衛生面にも影響する
- ナイアシンの合成に必要でエネルギー産出にも影響する
- ひとつの食品だけで多く含むものでもないので、様々な食事から摂取がおすすめ
セロトニンなどホルモンになることで精神安定に影響するトリプトファン。引越しや生活環境が変わるときには意識的に摂取することで落ち着きを取り戻すきっかけになるかもしれません。