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粗繊維と食物繊維は同じではない!実際の食物繊維量の半分以下!?
キャットフード・ドッグフードのパッケージには粗繊維が3%や10%と表示されています。これが食物繊維量と考えている方もいるかと思いますが、粗繊維は食物繊維だけを表す値ではありません。また、食物繊維量の一部しか把握できない値です。
粗繊維定量法
現在の食物繊維の定量法では胃と腸で消化されないものを不溶性食物繊維としているため、酸とアルカリで煮沸して残ったものを粗繊維として表示しています。この方法では主にセルロースやリグニンをはかることができます。
しかし食物繊維には不溶性だけでなく水溶性の食物繊維もあります。これら水溶性食物繊維は粗繊維には含まれていません。
水溶性の食物繊維は含まれていないんですか!それでは実際の食物繊維量と比べると粗繊維の数値ではかなり少ない値が表示されている可能性がありますよね!
この方法では水溶性の食物繊維は完全に除かれ、不溶性のセルロース、ヘミセルロース、リグニンも半分以上が分解されてしまいます。このためこの粗繊維測定値は実際の食物繊維の半分以下にもなる可能性が指摘されています。
粗繊維の表示が10%なら実際の食物繊維量は20%!?
このように粗繊維には水溶性食物繊維は含まれていません。
なおかつ不溶性食物繊維も半分以上が分解されている測定値なので、粗繊維10%であれば、全体の食物繊維量は20%以上の可能性もあるかもしれません。
実際にどの程度減っているかまでは私は検証していませんが、あくまで不溶性繊維の一部を表しているというのが正しいと思います。
食物繊維の効果と多いことのデメリット
食物繊維の一般的な効果として
- 不溶性繊維は腸内を掃除し、腸の蠕動運動を促進します。腸内の不要物をまとめることで便に適度な硬さを持たせることができます。
- 毛玉を集めるため、毛玉ケアにも使われます。また糖などの吸収を制限したい場合にも使用されます。
- 可溶性食物繊維は善玉菌の栄養源となり、粘膜を整え、便の臭いを軽減します。
これらが多すぎると
- 容積が増えることで通過時間が長くなり、水分がなくなり便秘になる場合があります
- 反対に腸内の通過時間が短くなりすぎると下痢になる場合があります
このように食物繊維の量は便秘、下痢に影響してきます。またあまり食物繊維に頼ると、猫本来が持つ腸機能が落ちていくとも考えられています。
愛猫にとっての適度な食物繊維量がどの程度かを見極める必要がありそうですね!
水溶性食物繊維を原材料から見てみる
「腸内環境を整えるためには不溶性繊維も水溶性繊維も両方必要です」という話はここだけでなく、色々な場所で目にすると思います。その上で「粗繊維量を確認して」という記述もよく見るのではないでしょうか。
はい。どこでもそう書いてありますし、そう思っていました。
しかし、実際には粗繊維には水溶性食物繊維が含まれていないのに、粗繊維だけみて繊維が多いなんてことはわからないといっていいとも思います。
厳密には不溶性繊維が入っていて水溶性繊維が極端に少ないなんてことは普通にドライフードを作っていれば起こらないと思いますが、少ない程度なら起こりえます。
水溶性繊維は悪玉菌の餌にはならずに善玉菌の餌になったり、粘膜を調整する働きがあります。もし粗繊維の数値では十分でも、水溶性食物繊維が少なかったら腸内環境は改善されると思えますか?
全く思えません…
このため粗繊維に含まれていない水溶性繊維は、ペクチン、グア、難消化性オリゴ糖、グルコマンナンなどがどれだけ含まれているかを原材料から想像してみるのも大切です。
本当に驚きの事実です…そんなこと今まで考えてみたこともなかったです…
粗繊維は倍で考えるとわかりやすい?
粗繊維が3%と5%では大して変わらないように思えると思います。
2%位だと誤差程度の違いかなと感じてしまいますね。
しかしそれが6%と10%ではどうでしょうか。倍くらい違うようには感じませんか?
このように粗繊維は概ねキャットフード・ドッグフード内の食物繊維の半分くらいを表しているものと考えると2%の違いでも、自分が思っているよりも効果が変わってくると感じられるかもしれません。
キャットフード・ドッグフードで平均的な粗繊維3%と、高繊維食と言われる10%程度含むものでは、倍で考えると6%と20%もの違いがあります。実際は2倍にしているだけなので比率は同じなのですが、違いが鮮明に見えてくるのではないかと思います。
上記のように粗繊維と食物繊維の量は同じではありませんので、原材料を見つつ、食物繊維量を想像できる力がつくといいですね。
まとめ
- 粗繊維は食物繊維の一部しか表していない
- 粗繊維には水溶性食物繊維が含まれていない
- 粗繊維には不溶性食物繊維も半分程度しか含まれていない
- 粗繊維は実際の食物繊維量の50%以下になる可能性が指摘
- 原材料から水溶性食物繊維が含まれているかを想像できるとよい
粗繊維が実際の食物繊維量からは遠い可能性がある表示であることがわかりました。食物繊維を気にしたい時は原材料もよく観察することで、実際に含まれている食物繊維量が想像できるようになるとよさそうです。特に水溶性食物繊維について観察してみましょう。