目次
ビタミンEとは
ビタミンE(Vitamin E)の化合物名はトコフェロール、トコトリエノールとも言われ、脂溶性ビタミンのひとつです。
動物の血液や組織に存在するビタミンEの大部分はα-トコフェロールです。このためペットフードではα-トコフェロールが使用されています。
ビタミンEは抗酸化作用が特徴で、ペットフードにも酸化防止剤としても使用されています。
主な供給源は緑黄色野菜、植物油などがあります。
穀類もビタミンEの主な供給源であるが、湿った穀物をサイロに貯蔵するとビタミンEが著しく減少します。12週間の湿った大麦を保管した例では約90%も減少したという報告があります。
つまり原材料そのものだけでなく、保管状況なども含めた状態で左右されます。
天然トコフェロール
トコフェロール(ビタミンE)には天然、合成があり、天然では以下の4種類が存在しています。
- α-トコフェロール
- β-トコフェロール
- γ-トコフェロール
- δ-トコフェロール
ミックストコフェロールは上記の4つが混合されています。ペットフードにも使用されています。
天然のトコトリエノールもα-、β-、γ-、δ-の4種類が存在します。ペットフードではあまり使われないかと思いますが、原材料に含まれている形で配合されている場合があります。
合成トコフェロール(DL-α-トコフェロール)
合成のトコフェロール(ビタミンE)は抗酸化作用を発揮する部分が天然のビタミンEとは違う構造になっているため抗酸化作用は期待できません。
しかし栄養素としては効果的であり、抗酸化物質としてではなく、栄養添加物として使用されます。
抗酸化作用は必ずしも天然ビタミンEのみで対応する必要はなく、天然由来のビタミンEの他にローズマリー抽出物やマリーゴールドなども使用されます。
ビタミンEの働きは?
最大の特徴は抗酸化作用です。合成の酸化防止剤には劣りますが、天然の酸化防止剤としては強力な抗酸化作用を利用して添加を行います。
動脈硬化や血圧低下、血管を健康に保つ、悪玉コレステロール減少、赤血球の破壊を防ぐなどの作用があります。
ビタミンEの主な機能、欠乏症、過剰症
ビタミン | 機能 | 欠乏症 | おもな給源 |
---|---|---|---|
ビタミンE | 細胞膜構造維持、生殖腺・筋肉・神経系機能維持 | 肝臓壊死、筋萎縮、繁殖障害(犬)、退行性骨格筋疾患、精子形成障害、脂褐素症、黄色脂肪症(猫)間質性心筋炎、骨格筋炎、肝門脈単核細胞浸潤 | 緑黄色野菜、乾草、糖蜜、米糠、植物油、穀類 |
参考:ペット栄養管理学テキストブック
代表的な欠乏症が猫では黄色脂肪症(イエローファット)があり、犬では退行性骨格筋疾患があります。全般的には筋肉、神経、血管や生殖器など多岐に渡る影響が出ます。
ビタミンEの毒性は低く過剰摂取による影響はないと考えられています。サプリなどで余りにも過剰摂取した場合には肝機能障害などが起こるリスクもあるかと思います。
ビタミンEの摂取量について
下記の表をご覧下さい。ビタミンEは珍しく最大値が設定された栄養素です。
AAFCO 2016 ドライキャットフードのビタミンE
栄養 | 単位 | 子猫・成長期 最小値 | 成猫 最小値 | 最大値 |
---|---|---|---|---|
ビタミンA | IU/kg | 40 | 40 |
ペットフード公正取引協議会が採用している栄養基準を定めているAAFCO 2016のキャットフードの基準を確認するとビタミンEの最小値は子猫・成長期が40IU/kg、成猫期は40IU/kg、最大値はなしとなっています。
AAFCO 2016 ドライドッグフードのビタミンE
栄養 | 単位 | 子猫・成長期 最小値 | 成猫 最小値 | 最大値 |
---|---|---|---|---|
ビタミンA | IU/kg | 50 | 50 |
ペットフード公正取引協議会が採用している栄養基準を定めているAAFCO 2016のドッグフードの基準を確認するとビタミンEの最小値は50 IU/kg、最大値は50 IU/kg、最大値はなしとなっています。
まとめ
- ビタミンEは脂溶性ビタミン
- ビタミンEの抗酸化作用は天然トコフェロールのみで見られる
- 合成ビタミンEは栄養添加物として使用されるが、抗酸化作用は期待できない
- ビタミンEは欠乏症はあるが、過剰症はない
- 影響は筋肉、神経、血管や生殖器など多岐に渡る
ペットフードの酸化防止剤としても使用されるビタミンE。酸化防止作用を気にする場合は天然トコフェロールが重要であることがわかりました。他の酸化作用のある原材料と合わせて確認してみるといいかもしれませんね。