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キャットフード・ドッグフードの知識を持っているのは誰?
とても面白いご質問がありました。それが今回ご紹介する「ペットフードの知識を持っているのは誰?」です。
獣医師やメーカーさんではないんですか?
知識は担当ごとに保有している
ペットフードの知識は見方、考え方で判断が変わる部分があります。原材料や栄養素に目が向きがちですが、製造、運搬、保管の現場も非常に重要です。更にはパッケージの素材も重要でしょう。
これらはそれぞれ別の方々が担当し、それぞれに知識を持っています。このため、トータルでの知識を有している人は非常に少ないです。
メーカーのスタッフでもセールスの方と研究員の方では持っている知識は全く違いますし、獣医師でもいわゆる獣医さんと、ペットフードメーカーの獣医師では全く違います。
このように同一の職種であっても有している知識には違いがあります。
インターネットで確認できる情報は一部
まず最初に、また2000年代以降はインターネットが一般に普及したことで、多くの文献を確認できるようになりました。それによってインターネットで手に入れた知識が全てのように感じてしまいがちなのですが、動物に関わる検証結果、つまりマウスなどでの動物実験は2000年代以前に行われているものが多く、インターネットで確認できない情報が多く存在します。
つまり現場に多くの知識があるということを念頭に置いてこうした点は考慮していく必要があります。
現在では倫理的な面からも動物実験を行うことは実質的に不可能ですので、病気になった場合などの症状から逆算して検討していく方法が取られ、解明までに長い時間がかかることがほとんどです。このため、昔の動物実験の結果は大変貴重であり、現在でも真摯に向き合い、各方面で活用させていただいています。
工場やメーカーの研究員
結論から申しますと、ペットフードに関して最も知識があるのは、多くの種類のペットフードを製造していてその結果を知っている工場やメーカーの研究員(栄養士や獣医師など)です。
やはり多くのペットフードを作っているメーカー、工場の研究員はフィードバックされた情報を持っているので、その方なりの一定の答えを持っています。
これらフィードバックされた情報は、販売されているメーカーからくる情報であり、動物実験ではありませんが、それに匹敵するほどの情報ではないでしょうか。
全世界のメーカーの情報がくるとなれば凄いですね!
そして例えば「この原材料を入れるとミネラルに影響がある」など個々の原材料がどう影響してくるのかをわかっているのもこの方たちだけです。
また食いつきに関しても、「猫(犬)だからこういうものが好き」といった学術的なものではなく、「実は猫(犬)はこれが好き」といった具体的な処方を持っていたりします。
動物関連の学者の方などからもこうした経験に基づいた実践的なお話が聞けるときがあります。
メーカー、研究員独自の根拠を持つ
このように研究員には獣医師などが持っているエビデンスとは別のエビデンスや経験を持っている場合があり、考え方に違いが出てきたりします。
畜産専攻の大学教授など
日本ではペットフード製造や判断において畜産に関する知識は欠かせません。というのもペットフード自体の法律はまだ十分ではないため、畜産における法律、経験、実績が重要視されているからです。
畜産に関しては人が食べるものとして、人に直結するので法律で明確に定められています。
畜産について専攻されている先生方の知見をもとに法律なども整備されていき、結果的にペットフードに大きな影響を与えています。
肉食の家畜はいないが、猫は肉食(犬は肉食寄りの雑食)
しかし家畜の場合、牛、馬、羊、豚、うさぎ、鶏などを主にしていて、猫のような肉食動物がいません。
このため特にキャットフードは畜産とはまた違った一面を持っています。
獣医師
獣医師は先生方によって詳しい知識に違いがあるかと思いますが、基本的な栄養配分や特に病気における療法食についての知識は欠かせません。
現場にいらっしゃる獣医師の方々であるからこそ持っている最先端の知見が、療法食や基本栄養に生かされています。
また、明確なエビデンスを元に考えられ、思わぬ面白いアイデアや経験則はあまり出てこなかったりします。職業的に当たり前ですよね。
面白い先生では独自の考えや予想、アイデアを話してくれたりします。
ペット栄養管理士や愛玩動物飼養管理士などの有資格者
こうしたペットの有資格者も現在のエビデンスを元に勉強を行い、資格を取得しています。
この他にもまだまだ多くの資格があります。
パッケージ製造業者
中身がどれだけ理論上整ったものになったとしても、袋の品質によって大きく左右されてしまいます。
酸素透過率や水蒸気透過率、頑丈さ、使いやすさなどはパッケージの素材選びから始まり、素材の組合せも大きなポイントです。
こうした部分は製造者と打ち合わせ、テスト製品を繰り返して試験が行われて完成します。
弊社ヒューマルでも新素材の開発を行い、先日遂に納得のいく素材が完成したところなので、今後は弊社製品のキャットフード・ドッグフードに使われていきます。
参考記事
参考記事:ロニーキャットフードのパッケージの新素材を開発中!(サイト外リンク:株式会社ヒューマルのブログ)
フォワーダー
貨物利用運送業者で、いわゆる船や飛行機、電車、自動車を使った国際輸送を行う事業者です。フォワーダーの経験は安全でスムーズな輸送に大きな影響を与えます。
ペットフードはほぼコンテナを利用した輸送となりますので、海上輸送が一般的ですよね!
海上輸送ですので積み替えのある船を使用するか、積み替えなく一回で日本まで届くのかといった点もあります。これらはフォワーダーだけでなく、荷着時期に合わせた船のタイミングなども関係してきます。
どちらでも大きくは変わりませんが、ペットフードをコンテナに積む作業はフォワーダー側が行う場合もあれば、ペットフード工場側が行う場合もあります。
倉庫業者
温度管理や物品管理の保管に関する部分から、出荷方法など商品の取扱いに関する部分まで、倉庫には品質に影響を与える可能性がある部分があります。
倉庫はイメージが付きやすいですね!保管場所が劣悪な状況だったら商品には大きな影響が出そうです。
参考記事
参考記事:ロニーキャットフードの入庫完了!今回もベルギーより無事に届きました。(サイト外リンク:株式会社ヒューマルのブログ)
多くの専門知識が必要
結果的にこうした方々から話を聞き、見学を行ったりしながら状態を確認していくことで、全体的な流れや商品の取扱いが見えてくるようになります。
更に食べる食べないといった行動学も含まれてくると、そうした分野を研究されている方の知識も必要になります。
ペットフードは様々な知識や経験によって支えられ、品質が保たれています。
私自身も出来る限り様々なことに関わるようにして、多角的な目で見られるようにしていきたいと考えています。
まとめ
- 知識は担当ごとに保有している
- 材料だけでなく、製造方法、パッケージ品質、輸送、保管など多数の要因が関係する
- インターネットで確認できる情報はほんの一部
ペットフードの知識と一言でいっても、様々な面から見る必要があることがわかりました。ペットフードに対して、また猫に対する知識を求めるときは、具体的な内容を決め、その専門の方に確認するのが良さそうですね!