酵母とは
酵母とは糖分を分解する微生物のことです。糖分をアルコールと炭酸ガスに分解するため発酵でよく使用されます。
特殊なもののように思えますが、野菜や植物、果物から空気中に至るまで自然界のあらゆるものに生息しています。キノコなどの真菌類に属しています。
糖分をアルコールと炭酸ガスに分解する
糖分をアルコールと炭酸ガスに分解してくれるので、体内に入った糖分を吸収される前に分解してくれ、過剰吸収を抑制することで肥満予防効果が期待されます。同じように血糖値の上昇抑制効果も期待できます。酵母による効果で腸内の消化性が向上した結果もあります。
人の場合は小腸に定住して様々な機能を保つ働きをしており、中でも免疫系においては大切な機能のひとつです。
犬の酵母の効果
酵母は単細胞の微生物で、酵母の最も外側の殻の部分を酵母細胞壁(Yeast Cell Wall、以降はYCW)といいます。このYCWはβ-グルカンやマンナンの多糖などでできていて、YCWとフラクトオリゴ糖を組み合わせることで犬の免疫グロブリン(IgA)が増加したという研究結果があります。免疫グロブリンは腸の健康に有益である可能性があります。
YCW由来のマンナンオリゴ糖は犬の糞便中の乳酸菌、ビフィズス菌を増加させる可能性があり、プレバイオティクスとしても有効なのではないかと考えられています。
猫の酵母の効果
猫の場合でも最新の研究で、YCWの混合物を添加した食事を与えられた猫で、低容量のYCWでも猫の代謝と糞便微生物叢の特性を調整することができることが示されています。YCWを与えることでドライキャットフードを食べている成猫の腸の健康に潜在的に寄与する可能性が示唆されました。
猫は肉食動物であり、盲腸が機能していないにもかかわらず、発酵能力が高いことがわかっています。(参考:Dietary fibre and the importance of the gut microbiota in feline nutrition: a review)このため、猫の腸にプレバイオティクス活性を持つ栄養素を与えることは有益であり、猫の健康にも重要であると考えられています。
ペットフードによく使われる酵母
ビール酵母
犬猫の場合、酵母で最も使用されるのはビール酵母です。アミノ酸も豊富で使い勝手がよく、ペットフードの原材料として非常に良く利用されています。
栄養添加物のような使い方をする酵母
酵母は食品
セレン酵母やマンガン酵母、銅酵母など、各栄養素が含有している酵母があります。これらの酵母は添加物ではなく食品として使用することができ、ペットフードでも栄養素をプラスしたい時に使いやすい食材です。
しかし例えばセレン酵母と添加物のセレンを比較すると、酵母の方がセレンの含有量が少ないという欠点があります。これによって酵母の方が添加物よりも多く配合が必要です。
酵母には独特の甘い香りがありますので、大量に使うと酵母の香りが邪魔をしてしまうことがあり、食いつきに影響が出る場合があります。
添加物にも独特の匂いがある場合がありますが、添加量が少ない分レシピへの影響が少なく、よりよく仕上がる場合があります。
このように酵母は食品ではありますが、添加物の方がよいケースも存在します。
また酵母は使用量が増えてしまうので添加物よりも割高になりがちです。
酵母は熱に強い
しかし酵母は熱に強いという特性もあります。こうしたことからもペットフードにはよく使われ、中でも冷凍、生もの系のペットフードでは特によく使用されます。
また、添加物ではなく、あくまで食品であるという点はイメージひとつとっても良いため、上手に利用していきたい食品です。