完全ではない原産国表示義務
実はペットフード安全法は完全ではありません。
ペットフード販売業者なら誰でも知っている事実ですが、「原産国」表示は「最終加工工程を完了した国」となっています。最終加工工程にパッケージングは含みません。
原材料生産地が中国だったら?
原材料生産地が中国であったとしても、日本で加工、生産を行えば、そのペットフードの原産国は「日本」と表記されます。
だから各メーカーは「中国産の原材料は使用しておりません」などの告知をホームページで行っているんですね!
そうすることで市場の信頼を得るためですね。パッケージングは含まないのでドライフードでいえば最終加工である成型加工(エクストルーダー)を行った場所になります。ウェットフードならレトルト殺菌加工になります。
リパックというものを聞いたことがあります。
例えば海外製造のペットフードを既存の製品のまま、もしくは仮のパッケージで輸入し、日本で違うパッケージに詰め直す作業のことです。これはリパックなので原産国表示には関係がないということになりますね。
保存料、添加物の基準が甘い
「BHA、BHTは使用していません」という表記をみたことはありませんか?
ペットフードのメーカーホームページで見たことがあります。
ペットフード安全法では酸化防止剤としてエトキシキン、BHA、BHTの使用が認められています。しかし、エトキシキンは日本では人間の食品への添加も認められておらず、農薬登録も受けていません。
エトキシキン以外はどうですか?
BHTは食品添加物として使用が認められていますが、発がん性が指摘されています。BHAは犬猫のような前胃がない動物には発がん性がないと研究で結論づけられています。
このためナチュラル系をうたっているメーカーはホームページなどで「使用していません」ということをわざわざ書いて、市場の信頼を得たいと考えています。
原材料を生産する時に使用する添加物の表記義務はない
原材料って元々の材料なんですよね?原材料に添加物を加えるってどういうことですか?
確かにわかりにくいのですが、原材料とはいえ、その原材料を作る工程があります。
例えばペットフードによく使われている原材料である「動物性油脂」ですが、これは野菜などとは違ってそのまま存在するものではないため、動物性油脂というものを製造しなくてはいけません。
動物性油脂は油なので酸化しやすいのですが、動物性油脂を製造する時に、どれだけエトキシキン、BHA、BHTを使っていたとしても、原材料名は「動物性油脂」となり、エトキシキン、BHA、BHTの表記は必要がありません。
簡単にいうと料理をする時の原材料にコンソメがあったとします。この料理について原材料でコンソメを紹介することはあっても、コンソメ自体の原材料や添加物までは紹介しませんし、わからないのと同じことです。
そういう意味ですか!すると実は原材料表示以外にたくさんの添加物が使われている可能性があるんですね。
製造業者としては製造時に仕入れて使用した材料のみの表示でいいので楽ではありますが、実際にどこまでなにが含まれているかは、原材料自体の製造業者まで辿ることになり、これは人の食べ物でも変わりませんが、ほとんど不可能と言っていいと思います。
まとめ
- 原産国表示は最終加工地であり、原材料生産地ではない
- 原材料に使用した添加物の表示義務はない
- 人と動物に対する規制は異なっている
- 原材料自体の生産まで把握することは難しい
今後改善されていくのか、メーカーが信頼度を上げるために告知を行ったりすることで安心感を高めていくのか、今後の動向に注目ですね!