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ヨウ素は劇物に指定されている!?
ヨウ素が劇物に指定されているということで、敏感な方から「猫にヨウ素を与えていいんですか?添加されていて問題ないんですか?」というご質問を頂いたことがあります。
確かにヨウ素は沃素、またヨードといわれ、法:88の分類:劇物に指定されています。
参考:毒物及び劇物取締法 (毒劇法)-毒物劇物の検索 国立医薬品食品衛生研究所
許容濃度は0.1ppm、1mg/㎥とされています。
ヨウ素の有害な健康被害が現れないと考えられる気中濃度
0.1ppmってどんなものですか・・・?
ppm:100万分率の単位です。ポジティブリストの一律基準である0.01ppmは、25mプールに農薬を数滴加えた程度の濃度です。
参考:キューサイ分析研究所
空気1㎥中に、ある物質が0.0000001㎥含まれる場合、0.1ppmの濃度となります。
相当少ない量ですね!ヨウ素はそれほど劇物なんですね。
上記はあくまで気中濃度であることには注意してください。
食べ物に含まれているヨウ素
そんなに劇物のヨウ素が食品に入っていて大丈夫なんでしょうか・・・
工場における最大許容濃度は1mg/㎥とされている。単体ヨウ素自体は有毒(劇物にも指定されている)でヒトに対しての致死量は2gほどである。ヨウ化物のほうは安全であるが、それでも過剰に摂取すると好ましくない副作用を示す。
参考:丸善出版株式会社 本文無償公開 ヨウ素(pdf)
ヨウ素はこんぶ、わかめ、のり、ひじきなどの海藻やその名の通りヨード卵などに含まれています。
病気などでヨウ素の摂取を制限している場合は、特に海藻類の摂取は控えてください。
1食の摂取量(g) | 含まれるヨウ素(mg) |
---|---|
昆布の佃煮(5~10) | 10~20 |
昆布巻き(3~10) | 6~20 |
ひじき(5~7) | 1.5~2 |
わかめの吸い物(1~2) | 0.08~0.15 |
海苔2分の1枚(1) | 0.06mg |
昆布だし(0.5~1) | 1~3 |
寒天(1) | 0.18 |
参考:ヨウ素について 環境省
厚生省によれば人の推定平均必要量1日0.095mg、推奨量1日0.13mgとされています。
このため、上記の表からもわかるように人は食事で十分なヨウ素を施主していると考えられています。
ヨウ素は人にも猫にも必須栄養素
劇物であると言っておきながら、ヨウ素は必須栄養素です。
摂取しすぎには注意が必要ということですね。
必要量は微量ですが猫でも同じく必須栄養素です。このためキャットフードにもヨウ素を添加、もしくは原材料で含有されるように調整されます。
過剰摂取しても欠乏症と同じ症状を示す
猫は過剰摂取するとサイロキシンが減少して、結局ヨウ素欠乏症と同じ症状が現れるとされ、摂取量が非常に大切です。
しかし現在のキャットフードを与えていれば、過剰摂取や欠乏症は見られないと言っていいと思います。
これは総合栄養食であれば以下の数値が守られているからです。
栄養 | 単位 | 子猫・成長期 最小値 | 成猫 最小値 | 最大値 |
---|---|---|---|---|
ヨウ素 | mg/kg | 1.8 | 0.6 | 9.0 |
このため、キャットフードにはヨウ素は含まれるべき栄養素であり、含有量が守られている限り問題はありません。
まとめ
- ヨウ素は劇物に指定されている
- 単体ヨウ素は有毒(劇物にも指定)で、ヨウ化物のほうが安全だが、過剰摂取は好ましくない
- 特に海藻類に多く含まれている
- 人も猫も必須栄養素
- 現代のキャットフードを食べていれば過剰摂取や欠乏症になることはない
ヨウ素は猫にとっても必須の栄養素であることがわかりました。AAFCOの基準を守って作られたキャットフードであれば問題が起こることはないので、心配する必要はなさそうです。