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亜鉛とは
亜鉛(Zn)とはミネラルのひとつで、血液や皮膚に多く存在しますが、新陳代謝が激しい骨や肝臓、脳などにも多く存在しています。
亜鉛がどのようなものかというとトタン板は錆びないように鉄に亜鉛をメッキしたものです。屋根や外壁、雨樋などに使われます。
これが栄養素とは考えにくいものですが、1961年にイランで子どもの亜鉛欠乏症が発見されており、成人では1975年に高カロリー輸液のみで栄養補給していた患者から発見されました。
この高カロリー輸液患者に起こった欠乏症をきっかけに、様々な微量元素が明らかとなっていきました。
亜鉛の働き
亜鉛はそのほとんどは細胞内に存在することで新陳代謝をサポートしています。細胞が分裂、増殖するために必要な成分です。
新陳代謝の多い皮膚被毛粘膜の健康維持に役立つ他、味覚を保つためにも必要な栄養素です。
亜鉛は吸収率が7~15%程度と低く、食品添加物などでも吸収が阻害されてしまいます。穀類に含まれるフィチン酸や、青菜などに含まれるシュウ酸や食物繊維も腸管で亜鉛と結合してしまうため、吸収を阻害してしまいます。下痢などでも吸収前に失ってしまいます。
少しでも亜鉛の吸収率を高めるためにはビタミンC、クエン酸と一緒に摂取することがポイントです。
- 味覚を正常に保つ
- 新陳代謝を促す
- 皮膚被毛の健康維持
- 粘膜の健康維持
- 生殖機能の維持(精子の生成・女性ホルモン分泌活性化)
- 糖尿病予防
- コレステロール上昇抑制
参考:ペット栄養管理学テキストブック
猫の味覚を保つという点においては食事に直接的に関係する部分であり、非常に重要であることがわかると思います。
亜鉛が含まれる食品
- 牡蠣
- ほたて
- カニ
- 牛肉
- 豚レバー
- 納豆
- 卵
- カシューナッツ
亜鉛の吸収について
亜鉛は主に小腸で吸収されますが、そもそも吸収を阻害されやすい栄養素です。
植物性タンパク質を基本とした食事では亜鉛の吸収率は低いです。これは上記で紹介した穀類に含まれるフィチン酸が亜鉛の吸収を阻害するためです。
反対にクエン酸は吸収を促すため、ミルクに含まれる亜鉛はクエン酸が作用して吸収率が高くなります。
クエン酸は酸化防止剤としても使われていることが多いですよね。
アミノ酸とキレート結合した亜鉛も効率よく吸収されます。
グレインフリーキャットフードと亜鉛
肉が多く、穀物不使用のグレインフリーは亜鉛を吸収しやすい
上記からも動物性タンパク質が豊富なキャットフードの方が亜鉛の吸収率は高く、グレインフリーは動物性タンパク質が豊富な設計となっているものが多いので、穀物入りの食事と比較すると亜鉛を吸収しやすい食事であると言えます。
もちろん他のミネラルとのバランスも重要なので製品に寄ってしまう部分もあり、言い切ることはできませんが、そうした一面があるということはわかってもらえるかと思います。
グレインフリーはミネラルも吸収しやすい配合になっていたんですね!
また良質なタンパク質は亜鉛と結合しやすく吸収されやすくなります。
猫とグレインフリーとミネラル
肝臓サポート、皮膚被毛の健康維持が上げられます。
亜鉛には欠乏症があり、足りていないことで皮膚炎や脱毛、角化亢進症、皮膚障害などが起こります。
食物繊維が多いキャットフード・ドッグフードは便秘解消などに都合が良いのですが、亜鉛の吸収を阻害してしまい、その他の健康に影響してしまう場合があります。
ミネラルには相互作用があるため、あるミネラルを過剰に摂取すると、関連する別のミネラルの吸収は妨げられたり、あるミネラルが欠乏すると、別のミネラルも欠乏するといった関係性があります。
特に猫の場合は敢えて穀物が必要でないのなら、ミネラルの吸収の点でも穀物不使用は十分な選択肢になってくるかと思います。
グレインフリーにしたら毛艶が良くなったという場合にはこうした点も影響している可能性があるかもしれません。
まとめ
- 亜鉛は吸収されにくい栄養素
- 亜鉛は正常な味覚を保つとともに、皮膚被毛の健康維持に効果的
- 植物性タンパク質が豊富な食事では亜鉛を吸収しにくい
- 穀類に含まれるフィチン酸が吸収を阻害するため、グレインフリーは効果的な選択肢のひとつ
- アミノ酸とキレート結合した亜鉛も吸収率が高い
- グレインフリーのように肉類の豊富な食事は繊維、アミノ酸の観点からも穀物入りのペットフードと比べると亜鉛は吸収しやすいと考えられる
犬猫にとってグレインフリーはただ肉食動物向けという以外にも効果が考えられているということを知りました。こうなってくると他のミネラルについても知りたいと思いました!