輸入キャットフードはなぜ高い?コストの内訳を考えるとそれほど上乗せはされていない

輸入キャットフードが全体的に高価格である理由を聞いてみました。
輸入コストやリスクを聞くと納得できる価格設定のものが多く、値段に対して納得して購入できればいいものであることもわかりました。
まずペットフードは輸入、通販に非常に向いていない商材です。というのも1袋あたりが2kgなど非常に大きいので、通販の主流である健康食品や美容家電と比べても、輸送量も倉庫保管量も多くなってしまい、コストがかかります。
にもかかわらず販売額は平均3~4,000円と健康食品や美容家電と比べても安いので、非常に利益率の悪い商品です。さらに食べ物なので管理も難しくなります。
それらを理解した上で輸入しようとする場合、日本にはない、原材料から製造工程までレベルの高いものを選びたいのではないでしょうか。
そうなると自然とオリジナルレシピを考案し、製造することになります。工場によって違いはありますが、オリジナルレシピのMOQ(最小発注数)が例えば10トンなど小企業にとっては非常に多いので輸送費、保管費もかさみます。
自信を持っていいものだと言えるものでなければ輸入に踏み切ることができませんね。
現状人件費が安いと言われているアジアの工場で作られているキャットフードは愛猫家に人気があるとは言えません。北米、オセアニア、ヨーロッパが安全性、原材料、人気共に高く、この地域は人件費も安くありませんし、距離も遠く輸送コストがかかります。
海外生産というと安く作れるイメージがあると思いますが、ペットフードは安全なものを求め、原材料から工場の設備まで、むしろ高くなっている傾向にあります。
レシピによって日本で作ることできる工場がなかったり、日本で同じレベルの安全基準をもつ工場、原材料を調達して製造するにはコストが高くなります。このためオリジナルで開発した商品ではなく、同じ製品をパッケージだけ変更して販売しているところもあります。※これはペットフードに関わらず様々な商品で行われていて、特に珍しいことではありません。
またキャットフードを販売する時に最も注意する点のひとつが「安全性」「信頼性」です。動物愛護に敏感な法整備もされている国で、製造量、販売量が多い工場で製造されたキャットフードの信頼性は、オリジナルでちょっと作ってみようというものとは実績に大きな差があります。
袋の製造コストに関してはやり方によっては問題があります。
キャットフード製造が海外でも、袋は日本語表記ということもあって日本で作っているメーカーも多くあります。
しかしこの場合は袋を日本から生産国へ輸出しなくてはなりません。
これを防ぐためにはペットフード工場と同じ国で袋製造業者をみつけて交渉しなくてはいけません。もしくはEU圏内の国でフードと袋を作ります。
ただし海外製造にすると発注する度に為替に左右されることになります。
そして何よりも細かい指示が伝わらない。何度言っても何回説明しても時間をかけても伝わらない。なんでなのかわからないほどに伝わりません。
また、伝わっていないのですから言った言わないになるので、私はできる限りメールでも同じことをやりとりするようにしています。
これは輸入ではなぜかどうしても起こることのひとつで、この点を考慮して例えば袋なら国内で製造してペットフード製造国へ輸出しているメーカーもあります。
もしくは大きな袋に入れて輸出してもらい、日本で一度開封し、日本語の袋にリパックを行うことになります。
株式会社ヒューマル代表取締役。ペットフード専門家。「動物にも食育を」を掲げて2016年に会社を設立。ヨーロッパを巡って自身の希望レシピを製造できるペットフード工場を探し出し、オリジナルキャットフードを開発。ペットフード販売士、ペット栄養管理士、愛玩動物飼養管理士、ペット防災指導員、ペット共生住宅管理士、保育士などの資格保持者。詳しくは紹介ページへ
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