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食べちゃダメな情報はほとんどが「生」の状態の時
インターネットでは犬猫が食べてもいい食材、食べてはいけない食材についての情報を大変多く確認することができます。
これらは普段の生活でとても便利にしようできる情報ですが、ここではペットフードの原材料として使う場合はまた別の話であるということについて理解を深めて頂きたいと思います。
まずほとんどのインターネットで確認できる食材に関する情報は生の状態の情報です。しかしペットフードにする場合は必ず加工を行います。
生と加工後では食材の成分が違う
では生の状態の成分と加工後の成分は同じでしょうか。当然成分値には変化があります。中には消失してしまうものもありますし、増えるものもあります。
生の状態で食べられないからペットフードの原材料として使用してはならないということではないということを覚えておいてほしいと思います。
例えばキャットフードに果物は使っても大丈夫?
現在販売されているキャットフードって色々ありますが、例えば果物は猫にも大丈夫なんですか?オレンジ、ミカンとか。
製造方法にもよるのですが、基本的には大丈夫と考えて頂いていいかと思います。
オレンジやミカン
例に挙がったミカン。ミカンやオレンジがダメなのは皮に含まれるリモネンが有毒になりえるからです。そしてリモネンは猫が苦手な香りの成分でもあります。
このリモネンを分解する酵素を持っていないので猫はリモネン中毒を起こしてしまう可能性があります。
もし生でミカン類を使っているキャットフードがあろうものなら、それは問題になるかもしれませんね。
しかし、できあがったドライフード製品からリモネンは検出されません。
ネット上ではその食品を生で食べた場合の情報がほとんどであるかと思います。しかしペットフードでは原材料を生のまま犬猫に与えるということがありません。
重要なのはミカンやオレンジが猫にとってダメなのではなく、リモネンがダメであるという点です。このように食品を正しく理解して使用することが重要です。
アボカド
アボカドを使ったキャットフードもありますよね。
犬猫にアボカドを与えてはいけませんという情報は一般的に言われていることです。アボカドに含まれるペルシンが発見されたときにマウスを用いた実験を行い、一定量与えると心筋繊維が壊死し、重傷になると水胸も併発したという研究がありました。
ペルシンを取り除けばアボカドを与えても問題がない
これもアボカド自体が悪いのではなく、ペルシンが問題であるということです。つまりペルシンを取り除けばアボカドを与えても問題がないと考えることができます。
まずアボカドは非常に種類が多く、種類によってペルシンの含有量に大きく違いがあり、含有量が少ないアボカドが存在します。
そしてアボカドはドライフードの製造で使われるエクストルーダーなどで加工を行うとペルシンがほとんど消失すると言われており、熟すほどペルシンの濃度も減少すると言われています。
ペルシン含有量の少ないアボカドを選定し、その中から熟したアボカドを使って、エクストルーダーで製造することによってペルシンが含まれないドライフードの製造は可能かもしれません。
このようにペルシンを取り除けばドライフードの原材料として使うことはでき、アボカドのその他の栄養素を活用することもできるということはわかっていただけたかと思います。
ただ根本的な面からいうとアボカドは熟すと柔らかく、ドライフード製造に向いている食材とはいえませんので、そこまでするメリットに乏しく、基本的には使われない原材料のひとつです。
日本で販売されているペットフードはごく一部
日本の方は日本で販売されているペットフードしか見ませんので、日本であまり見かけない原材料を見ると不安な気持ちになる方がいます。
しかしペットフードは基本的にその国、その土地、その工場で手に入りやすい原材料を使用して作られますので、日本人が知らない、見かけない原材料が使われていることは普通のことです。
逆に日本で使われている原材料が世界でも使われているかというとそうではありません。
欧州では魚のペットフードは人気がない?
例えば日本では魚を主体にしたペットフードは大変人気がありますが、欧州では圧倒的にチキンやビーフなどが人気で、魚はサブのサブといったイメージです。
海のない国では魚自体が珍しいということも普通ですし、猫が魚を食べるという認識がない国もあります。
逆に日本では牛や豚はあまりメジャーではないですよね。
最近は日本も魚が大変高くなってきましたが、欧州でも魚は肉と比べると相当高価です。このため余計に好まれません。
原価を少しでも安くするために私達が聞いたことのないような魚が使われていることも多いですし、white fishとして色んな魚がまとめられているものも多いです。
海外で「日本では魚のペットフードが人気がある」というと驚かれると同時に日本らしいと思われることが多いように思います。しかも日本で人気の魚はマグロやカツオですので更に驚かれますよ。
野菜とハーブの違い
野菜やハーブなども私達があまり耳にしないような食材が沢山使われています。
ハーブは犬や猫に与えて大丈夫ですか?といった話が良く出るのですが、これは国によってハーブ自体の認識が全く違うことから起こる問題でもあります。
ハーブと野菜の境界線がほとんどない
恐らく日本でも同じだったとは思いますが、アメリカでは昔は野菜とハーブの違いがありませんでした。日本だとハーブは香草のようなものをイメージするかと思いますが、アメリカでは野菜という認識であったりします。逆に玉ねぎやごぼうがハーブと言われていたりします。もちろんヨーロッパでも認識が違います。
このようにどれがハーブかという明確な基準がない状態ですので「ハーブ」というものに対してイメージだけで食べてよい食べてはいけないという話をしてしまっているんですね。
なぜか「ハーブ」はダメで「野菜」だとOKになりがちなのですが、あなたがハーブだと思っているものは野菜である国もありますからこの話はほとんど意味がありません。
そして日本はハーブの知識を勉強できる場が限られていて情報が手に入りにくい、勉強しにくい環境であるということも言われており、適切にこれがハーブですということは難しいかもしれません。
ペットフードの原材料として問題がないことが重要
肉か、魚か、ハーブか、野菜かということよりも、ペットフードの原材料として問題があるかないかで考える必要があります。これは全ての食材で同じです。
犬猫に生の食材を与えることはほとんどありません。つまり生で与える時以外はそれらの情報はそれほど大きな意味がありません。
犬猫が口にする状態の成分が重要ですので、食材が加工された後のペットフードに問題のある成分が含まれていないかが重要です。
問題が起こる原材料と不安に感じる原材料は別
現在私のもとに寄せられる相談は、問題が起こる原材料と不安な原材料がごちゃ混ぜになっていて、「全てが危険な原材料」という印象でのご相談が多いのですが、その情報源は多くがインターネットからのものです。
例えば不安に感じる原材料であれば穀物や酸化防止剤などではないでしょうか。
一番多い質問ですよね。
少し勉強していくとこれらに対して不安を持つことは普通のことだと思います。しか、穀物や酸化防止剤が問題が起こる原材料かというとそうではありません。
一部の方には食品添加物に対する反応はとても強いものになりがちですが、人の食べ物もペットフードも多くの食品に食品添加物が使われています。
これら食品添加物は一定の根拠が示されて使用されているものです。逆に言うと必要があるために使用しているのであって、むやみやたらに使用しているわけではありません。
現時点で問題が起こると判明している原材料は使われていません。また、「では今後問題が起こるのではないか」という可能性はもちろんゼロではありませんが、今現在フードと医療、生活環境の改善により、猫の寿命は延びるばかりです。
また、世界中でキャットフード、ドライフードが食べられ、アレルギーなどを除き、原材料が原因で死亡したという実例がないことも大きな確証になっていると言えるかと思います。
そうなると現在使用されている原材料で問題が起こるということは考えなくても良さそうですね。
そうですね。このため、飼い主として与えたいか与えたくないかという気持ち、判断で選ぶということになるかと思います。
安全に使用可能な原材料のリストがある
よほど最先端をいくキャットフードを作ろうとしなければ、OEM工場などではキャットフードに使用可能な食材は概ねリスト化されています。
そのリストは今まで一定以上の利用歴があって事故などが起こっていない食品一覧です。長年の製造販売データに裏付けられたものです。
ペットフードに使用できる食品リストがあるんですね!
昔はドッグフードをそのままキャットフードにしていたことで様々な問題が起こっていましたが、必要な栄養素、適合しない成分などがわかってきました。
また、製造後にそれらが含まれているかいないかも確認が行われています。
既存の原材料で問題が起こる可能性は限りなく低い
今後問題が起こる可能性についてですが、たった1日でも世界中で相当数の猫がドライフードを食べていて問題が起こっていないので、既存の原材料で問題が起こる可能性は低いと考えられます。
ペットフードの状況、研究結果はペットフードメーカーが持っている
私も何度も申し上げているのですが、ペットフードの状況や研究結果はペットフードメーカーが持っており、獣医師が持っているものではありません。※もちろんペットフードが得意な獣医師の方もいらっしゃいます。
ペットフードメーカーは自社の獣医師と共にレシピを制作し、製造し、検査にかけて新しいレシピを作っていきます。
毒性など問題がないことがわかった後に食いつき試験などを行い、発売します。問題があれば全世界から即座に工場へ伝えられ、再検査などが行われます。
この積み重ねでペットフードが出来るのですから、世界展開を行っているメーカーやOEM工場に積み上がった経験は確かなものです。
問題があれば売り続けることも不可能ですから、そうした意味ではアボカドのペットフードも問題はないと言えると思います。
ただし、こうした結果はどうあれ、飼い主自身が心配だから避けたいという話であればそれは尊重されるべきものと思います。
安全なペットフードとは?日本はペットフードに法律があるという点では先進国である
私も日本は「ペット」後進国だということはありますが、日本にはペットフード安全法というたったひとつの”製品”に対して法律が存在するという観点からみると、日本は「ペットフード」に関しては真摯に取り組んでいる国だと言えます。
私の知る限りでは他の国ではペットフードに限定した法律はないのではないでしょうか。(あるかもしれませんが)
日本ではペットフード安全法がありますので、法律守られた商品しか販売することができません。つまり日本で販売されているペットフードは基本的に安全であると言えます。
ペットフードの原材料以外の分野で猫の将来が大きく変わる可能性がある
現在はフードも含めた獣医療や生活環境が向上していることで、猫の寿命はどんどん延びています。さらに猫AIM製剤が完成すれば腎不全を抑制することができ、猫の寿命は30年にもなると言われているほどです。
猫AIM製剤、待ち続けています。
まとめ
- 安全に使用可能な原材料のリストなど積み重ねられたデータ、経験がある
- 世界中で相当数の猫が食べているドライフードで問題が起こっていないことがひとつの証明である
- 本当に新しい原材料の場合は様子を見ても良い
現在使用されているフードの原材料でいえば、ほとんど疑う価値がないほどデータ、実績が積み上がり、洗練されていますので、下手な研究や実験よりもよほど信頼がおけるのではと言えると思います。