シニア用ペットフードに対する誤解。高齢犬、高齢猫はタンパク質要求量が高くなる

シニア用ペットフードの特徴は主に以下の通りです。

  • 代謝の低下と運動量の減少に対応して、カロリーを抑えた設計になっていること
  • 肥満を防ぎ、体重管理をサポートするよう、脂質が低めに調整されていること

このため多くの飼い主は、犬猫の年齢が上がってくると100gあたりのカロリーやタンパク質量が少ないものを選ぼうとします。

しかしそれは誤解のうちのひとつです。

シニアの犬猫は成猫、成犬よりもタンパク質要求量が高いと考えられています

実際のガイドライン

犬の場合

シニア犬のタンパク質要求量は、成犬よりも少し高めに設定される場合があります。ただし腎臓の健康状態を考慮しながら調整します。

猫の場合

シニア猫は肉食性が強いため、成猫と比較して高品質なタンパク質を摂ることが特に重要です。また、猫はタンパク質をエネルギー源として利用するため、シニア期においてもタンパク質の供給を減らすことは推奨されません

シニアの犬猫のたんぱく質要求量が高い理由

筋肉量の維持

シニア期になると筋肉量が減少しやすくなります(加齢性筋肉減少症:サルコペニア)。

筋肉を維持するためには、若年期よりも高品質なタンパク質を十分に摂取することが必要です。

不足すると筋力低下や免疫力の低下につながります。

たんぱく質の消化吸収率の低下

高齢になると消化機能が低下し、タンパク質の吸収効率が落ちる傾向があります。
必要なタンパク質量を確保するために、消化吸収の良いタンパク質を多めに摂ることが推奨されます。

免疫機能のサポート

老化に伴い免疫機能が弱まるため、抗体や免疫細胞の材料となるタンパク質が重要です。

腎臓病や肝臓病のリスクがある場合はその限りではない

ただしいくつか注意すべきポイントがあります。

タンパク質量の増加がすべてのシニアに適しているわけではない

腎臓病や肝臓病のリスクがある犬猫には、タンパク質の量を調整する必要があります。過剰なタンパク質はこれらの臓器に負担をかける可能性があります。

これを知るためには健康診断が重要です。

質の高いタンパク質を選択する

シニアの犬猫では、鶏肉、魚、卵など消化吸収しやすい高品質なタンパク質(例:動物性タンパク質)が求められます。

食べる量が減る傾向にあるシニアは少量で効率よく栄養素を摂取する必要があります。

個体差を考慮

ペットの活動量や健康状態に応じて、タンパク質の量と質を調整する必要があります。

これは人でも同様で体の大きな人、小さな人や代謝のいい人、悪い人が同じ量を食べていれば肥満など体への影響に差が出てきます。

タンパク質は減らさずにリン含有量を減らすことで腎臓に配慮できる

特に猫の場合、タンパク質が豊富だと腎臓に悪影響があると考えがちですが、それはタンパク質自体が悪者ということではなく、タンパク質には腎臓に影響のあるリンが多く含まれているためです。

そこでタンパク質自体は減らさず、可能な範囲でリン含有量を抑えた商品でも対策が可能です。

こういうとリンが悪者のように感じてしまいますが、リンも必要な栄養素のひとつです。

リンはうまみ成分のひとつ

リンはうまみ成分のひとつなので、リンを減らすことによって食いつきに影響がでる場合があります。

おいしさとリンはトレードオフの関係にあるため、例えば療法食をなかなか食べてくれない場合の原因のひとつにリンを減らしているケースもあります。

結局のところ、シニアや病気の子でも食べなければ体が弱ってしまいます。愛犬愛猫の体の状況を見ながらではありますが、食べるものを選択してあげることも重要な健康対策のひとつです。

シニアは健康診断が大切

インターネットだけで調べていると判断を誤る場合があります。

インターネットの情報を信じることも、獣医師の判断を信じることも、自分自身の判断を信じることもそれぞれにメリットデメリットがあると考えていますが、どれを選択するにしても健康診断を行い、現在体の状態がどのようになっているのかを把握してから判断するようにしましょう。

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スギさん

新婚さんで妊娠中。子どもができたことをきっかけに家族の健康について考え、10歳を超えた愛犬愛猫の健康も考えるようになった。現在犬猫の食事について勉強中!

エノおじさん

10匹以上の猫を飼っているお酒が好きな元気なおじさん。大量のキャットフードを購入することもあり、安価でありながら安全なキャットフードを探している。
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