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ペットフード通販の送料について
今回のお話は送料(2021年6月時点)です。当然ながら今後物流状況や弊社の対応に変化もあると思いますので、今現在のこととして読んでみてください。
基本的に企業はこうした赤裸々な話はしないので面白いと思いますよ(笑)弊社でも少しでも改善していこうとあれこれ考えていますが、弊社だけで解決できるものでもなく、なかなか改革・改善が難しいのがこの物流です。
Amazonの台頭により送料無料、といいますか価格に送料が含まれて販売されることが多くなったため、私も時折送料について相談、議論になることがあります。
皆さん興味があるのか、面白い話でもありますし、弊社カスタマーサポートにも時々ご連絡があるようなので、ここでは現在の送料の仕組みなどをご紹介してみようかと思います。
確かにAmazonができて送料がかからないのが当たり前のようになりましたね。
その点が、様々な通販において消費者と事業者で感覚値に差が生まれる点になっているようです。まずは現在の運送会社から見てみましょう。
全国配送は実質3社のみ
現在全国配送を行おうとした場合にお願いできるのは実質3社のみです。
- ヤマト運輸
- 佐川急便
- 日本郵便
この他にも西濃運輸など大きな物流会社がありますが、「日本全国に大量の貨物を直接お客様へお届け」をお願いするとなると難しいというのが現状です。
多くの運送会社はこの3社の協力企業として協業されていらっしゃいます。ですので私達が直接お願いするのは上記3社になりますが、間接的に利用させていただいているケースはあるということですね。
ヤマト運輸
ヤマト運輸は、配送におけるサポートが充実していて送りやすく受け取りやすい運送業者です。
個人間の配送、通販など法人個人間の配送も得意とし、手厚い配送手法から個人の方に人気があります。
佐川急便
佐川急便は法人間の配送を得意としながら、法人個人間の配送も多くを担っています。
サービス体制は法人向けのサービスが多く、やや個人向けには不便なところもありますが、価格は安く、受け入れ体制も柔軟なため、通販事業者としては欠かせない存在です。
日本郵便
日本郵便はもともと国家事業なので日本全国にある郵便局を元にした運送力があります。
個人間に強く、国家事業であった側面から配送が行き届かないような地域でも配送できる地域ごとの特性を持っていたりもします。
3社の運賃は?
私たちも常に気に掛けていますが、皆さんが一番気になるのはここではないでしょうか。
現在はAmazonの台頭も影響し、物流量が増えたことで運送料は上がる一方です。弊社もロニーキャットフードを販売開始してまだ1年ちょっとの時にも関わらず値上げが行われました。
ペットフードは60サイズで1袋しか発送できません
1.8kg(1.5kgでも変わりませんが)の場合、
60サイズで1袋
60サイズで1袋がぴったり入ります。
80サイズで2袋(場合によって3袋)
2袋になると80サイズ、3袋でも80サイズに入る場合があります(箱と袋の形状によります)。ただし5kg以内なので1袋の重さによっては80サイズに入っても100サイズになってしまいます。
100サイズ以上で4袋~
4袋以上は更に大きな100サイズになります。
このようにペットフードは多くなればなるほど単純に送料が上がるという商品です。
ひとまずここでは60サイズを元に東京発全国宛で比較してみましょう。
3社の送料比較
サイズ | 北海道 | 北東北 | 南東北、関東、信越、東海、北陸 | 関西 | 中国 | 四国 | 九州 | 沖縄 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
北海道 | 青森、秋田、岩手 | 宮城、山形、福島、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、神奈川、東京、山梨、新潟、長野、富山、石川、福井、静岡、愛知、三重、岐阜 | 大阪、京都、滋賀、奈良、和歌山、兵庫 | 岡山、広島、山口、鳥取、島根、 | 香川、徳島、愛媛、高知 | 福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島 | 沖縄 | |
ヤマト運輸 | ||||||||
60 | 1370 | 1040 | 930 | 1040 | 1150 | 1150 | 1370 | 1370 |
80 | 1590 | 1260 | 1150 | 1260 | 1370 | 1370 | 1590 | 1920 |
100 | 1830 | 1500 | 1390 | 1500 | 1610 | 1610 | 1830 | 2490 |
佐川急便 | ||||||||
60 | 1210 | 880 | 770 | 880 | 990 | 1100 | 1210 | 1914 |
80 | 1485 | 1155 | 1045 | 1155 | 1265 | 1375 | 1485 | 3520 |
100 | 1826 | 1496 | 1386 | 1496 | 1606 | 1716 | 1826 | 4686 |
日本郵便 | ||||||||
60 | 1300 | 870 | 870 | 970 | 1100 | 1100 | 1300 | 1350 |
80 | 1530 | 1100 | 1100 | 1200 | 1310 | 1310 | 1530 | 1630 |
100 | 1760 | 1330 | 1330 | 1440 | 1560 | 1560 | 1760 | 1900 |
ヤマト運輸:重さ:60サイズ(~2kg)、80サイズ(~5kg)、100サイズ(~10kg)
佐川急便:重さ:60サイズ(~2kg)、80サイズ(~5kg)、100サイズ(~10kg)
日本郵便:重さ:25kg以下
全て2021年06月時点
価格は佐川急便と日本郵便の最安値バトル
上記表の緑が最高値、赤が最安値です。こうしてみるとヤマト運輸はほとんど全ての配送先で最も高い価格を提示しています。
佐川急便と日本郵便ではほぼ同価格で競い合っている印象です。
ただし、沖縄に関しては佐川急便は飛脚宅急便ではなく、飛脚航空便扱いになってしまうため、高価格になってしまっています。
最も近距離の関東発着でも最安値は日本郵便の870円
送料の高さに驚いたのではないでしょうか。
現在は関東近郊最も近い範囲に送るだけでも60サイズで870円かかります。定価の場合沖縄を除く60サイズの全国平均配送料が1,076円です。
平均送料が1,000円以上すると思うとやはり高いですね…
実際にはどの企業も東京大阪名古屋などの首都圏からのご注文が多いと思いますので、60サイズ1件辺りの実送料の平均値はもっと安いと思いますが、これに箱代やピックアップ費用、梱包費用などもかかります。
最近ニュースになりましたダンボール資材も価格が上昇していますので、資材など込みでは沖縄を除く全国平均1配送で1,200~1,300円程度かかっているのではないでしょうか。
たくさん送れば割引になる?それは昔の話。今は総量規制で大量に発送できない
<ヤマト運輸>サービスに定評のあるヤマト運輸。総量規制で受け入れ不可?
「たくさん送れば安くなるんですよね?」という声が聞こえますが、それは昔の話です。今は反対に輸送量の制限を行っている状態(総量規制)です。
弊社の起業時の場合ではヤマト運輸は総量規制でお受け取りいただけず、もし受け取っていただけても送料単価設定が高く、お願いできない状態でした。
ヤマト運輸は受取りサービスなどが充実していて受け取りやすいのに残念ですね。
少ない配送や、店頭持ち込み配送を受取り拒否されることはありませんが、毎日何十何百と出荷する場合は総量規制か条件次第となっているようです。
自社の倉庫ではない場合は、倉庫と運送会社が契約しますので、その倉庫ひとつに対してどれだけ運送会社が持っていっていただけるかになります。
この場合は同じ倉庫に入っている他社様と枠のシェアになることもあると思います。
<佐川急便>新規事業者に圧倒的に使われている佐川急便
こうして毎日相応数の発送がある場合、圧倒的に新規事業者に使われているのが佐川急便。
もちろん佐川急便にも制限はありますが、弊社では送料単価もある程度割引して受け入れていただけました。割引率や対応可否は地域、担当営業所によります。
こうして割引も考えると、事業者として実際には上記の表以上の価格差があり、弊社では佐川急便が沖縄・離島以外は最も安く受けていただけました。
個人の方には佐川急便は嫌だというネットの声もありますが…
色々言われてはいるようですが、実際佐川急便が受け入れ不可をすることがあれば、通販事業自体が成り立たず、現在の通販のスタイルは崩壊していくと思います。
日本ほど丁寧で早く確実なお届けサービスは崩壊し、輸送量の大幅減少から送料も上がり、昔からの通販業者や大手など一部の企業のみ通販可能な状態になってしまうと思います。
それにシステムの利用しやすさ、しにくさの差は各社あると思いますが、配達のみをみれば配達をする方はどの会社も「人」ですので、配達していただける人次第ではないでしょうか。
弊社には佐川の方がいい、ヤマトの方がいいとそれぞれの意見を頂きますので、配達地区、人によるのだと思います。
また特に最近多いのは、お客様に届ける方は佐川でもヤマトでもない事業者の方で、毎回違う方が届けるような場合に、ご意見を頂いてしまうことが多いですね。ほとんどそのケースのように見受けられます。
このように3社のどこがかけても現在の通販は成り立ち得ません。
全て日本の多くの物流を担っている重要な会社なんですね!
地域密着型で通販業者の利用はなかなか難しい日本郵便
上記表から考えると価格的にも日本郵便は十分に検討対象となるわけですが、発送量が多い場合、地域によって対応の可否があります。割引率も同様です。
郵便局は全国に非常に多くありますが、ヤマトや佐川の配達所とは違い、ポストがあってそこへ集荷するなど地域に密着したサービスが主流となっています。
このため他ふたつの事業者のように大型倉庫にトラックで集荷にきてもらえるかというと、その辺りに地域での対応可否が大きいようです。
送料無料の仕組み!送料を価格に折り込む
ここ数年は送料を価格に織り込んで送料無料で販売するスタイルが主流になっています。
100円均一で販売されているものがアマゾンでは500円位で販売されていたりします。これは送料を価格に折り込んで、送料無料としているためです。
送料織り込み価格は複数購入者には実は負担
送料織り込み価格とは、販売価格に送料を予め織り込んでいる価格のことです。こうすることで送料無料として販売することができます。
例えば本来の販売価格が1,000円の商品があるとします。その実送料の一部500円を価格に織り込んで販売価格を1,500円にして送料無料で販売しているイメージです。
このとき商品を2つ購入した場合は以下のようになります。
1,500円(送料織込み販売価格)×2個=3,000円(内送料1,000円)
送料別の利点
例えば本来の販売価格が1,000円の商品に対して送料別500円の場合は、商品を2つ購入しても商品代金だけなら2,000円なので、送料との合計金額は2,500円となり、織込み価格よりも500円安くなります。
1,000円(商品代金)×2個+500円(送料)=2,500円
最近は送料が上がりすぎて吸収できなくなってきているので、お客様に送料負担をお願いするところも増えてきており、こうした対応の差が出始めていますが、現在は「送料無料」という言葉の力が強く、多くの場合で送料織込み価格にしています。
必ずしも織り込んでいない場合もあります
売上が大きくなり、利益も順当に出てきた場合には、複数商品あることが多く、それぞれがそれぞれを補完するように成り立ちますから、上がった売上から送料を吸収できるようにもなってきます。
ただ、その吸収予定額が大きすぎると企業の体力にも影響を及ぼしますから、サービスを続けられることを前提にお客様に還元できる体制作りをしていかなくてはいけません。
あまり背伸びしても企業力が損なわれますし、やらなすぎてもサービスが悪いで終わってしまいますから、難しいところだと思います。
ペットフードであまり送料織込み価格での販売を行わない理由
ペットフードは1袋が重く大きいので、高い送料がかかります。ペットフードに限りませんが、重くて大きいものはとにかく通販に向いていません。
小さい商品の場合
洋服や小物、小さい家電などは箱の中に入るだけ詰めれば、ひとつ辺りの送料はぐっと安く抑えることができますので、小さいものは価格に織り込む送料が少なくて済みます。
実際送料が800円かかるものであったとしても、同梱が多ければ1つあたりの送料負担は安くなるので、送料を価格に織り込むとしても少ない金額で済みます。
大きく重い商品の場合
しかしペットフードは1袋で60サイズがいっぱいになるため、他の物を同梱するためにはサイズアップしなければいけません。たくさん購入頂けば頂くほど単純に送料が高くなり、安く抑えることはできません。まとめ買いより1袋購入が最も多い点も難しいところです。
ただし、1袋送って約800円が、4袋送って1,400円であれば1袋辺りは350円と安く発送することができます。このようにまとめ買いをしていただく前提で、箱の形状を工夫すればなんとか少しは送料を吸収できるようになってきます。
これを計算して、「いくら以上なら送料無料」としてうまく送料を吸収していきます。
重くて大きい物は保管スペースも大きい
重くて大きいものは輸送も大変ですが、そもそも保管しているスペースも広く、保管管理費用にも大きなお金がかかります。
単価が高くて小さいものほど通販に向いていますので、通販に向いている究極はダイヤモンドなどでしょうか。管理や真贋の問題はありますが(笑)
管理や真贋査定にお金がかかりそうですね(笑)
でもなんでマッサンは「いくら以上なら送料無料」はやらないんですか?
それを言われるとツラいところなのですが、ただ単に量を1.5kgから1.8kgに増量し、かつ、その分定価を上げるどころか下げてしまったので、販売当初から上がっていく送料を吸収できていないからという、私の価格設定のミスですね(苦笑)
当然ながら安い方が手に取りやすいと思っているのでそうしたのですが、それが経営的には良かったのか悪かったのか、今はなんとも言えません。当たり前の話なのですが、お金をいただけばできるサービスも増えていくんだと身に染みてわかったのは最近です(笑)
送料を吸収できない時代
上記表を見ての通り、送料が非常に高い時代になってきました。
ペットフードは中、高価格帯と言われる価格で4,000円から7,000円位です。
全国平均送料が1,000円となると、販売価格の4分の1が送料となってしまい、完全に利益を圧迫します。原価や広告費などではなく、送料が4分の1ですよ。実際は各社多少割引をもらっていると思いますのでもう少し安いとは思いますが。
その送料が無料であるというのが今の一般的な感覚になってきているのですから本当に大変なことですよね。
こうして各社ともに送料無料から送料一部負担をお願いするように変更するところが増えてきました。
弊社でも今後の送料と資材高騰時代を考えたとき、織込み価格にすることで自社もお客様も圧迫する可能性があり、現在可能な限り弊社で負担した上で提示できる価格として、何袋でも全国送料620円(税抜)としています。
実際には送料だけでなく、資材や梱包費用などもかかりますので、配送すればするほど負担が増え、私も今後どうしていけるか非常に悩んでいるところではあります。
正直なところ物流が最も改革、改善が難しい部分だと感じています。
沖縄・離島の送料リスク
沖縄・離島は送料が高いので、他地域に比べると非常に難しい地域です。
沖縄・離島だけ送料の安いヤマト運輸や日本郵便に出すことができる倉庫業者もありますが、ヤマト運輸や日本郵便に負担だけを強いる形になるので、企業側としても沖縄・離島発送分だけ頼むのは難しいという背景があります。
実際には沖縄・離島発送分はそれほど多くはありませんので、受取りできずに返品で再送というケースなどがない限りはなんとか吸収している企業が多いのではと考えられます。
もし返品、再送があった場合はだいたいのケースでその商品は赤字となり、企業が費用負担してプレゼント状態になってしまいます。
戦国時代に突入していた猫砂通販
私が知っている中で戦国時代に突入している(とっくにしていた)ものに猫砂があります。
猫砂は通販に最も向かない単価が安く、大きく、重い商品です。
例えば7リットル700円の猫砂の送料を考えると、まず60サイズには収まりません。80か100サイズになります。
このため一番安い佐川急便で関東近郊宛でも770円から1045円かかります。商品代金より送料の方が高くなっています。つまり送料を吸収することは不可能です。
企業は利益どころか原価など全てを負担、お支払いして、お客様へ大赤字プレゼントをしている状態になります。
実はこうした状態は以前から起こっており、大きく重い商品で単価が安い商品は事実上通販は不可能となっています。
このため、単価の高い他の物も合わせ買いしてもらうことで送料を分散して販売を可能にします。
猫砂は消費量、購入回数が多い
実は猫砂は消費、購入回数も多い継続してご購入いただけるものです。
この性格を利用して、通販ショップに何度も訪れてもらうきっかけにしたり、ついで買いをしてもらうという意味が大きい商品なのです。
なるほど!だから赤字覚悟で商品販売を行うんですね!
消費量が多いものにペットフードも含まれます。
だからこそペットフードや猫砂を販売する場合は他のものも合わせて販売するのがセオリーなのですが、弊社の場合まだロニーキャットフードとロニーボディクリームのみの販売ですので、そうした効果は得られずですね(笑)
弊社の場合はそこはなんとか頑張ろう!といったところです。
各社頑張りどころの物流業界
質問もあったのでこうしたお話をしてみましたが、これらは特にペットフードに限った話ではなく、通販業界全体を考えた話、動きです。
現在は倉庫のオートメーション化も進み、いずれ出荷作業、そしてドローン配送など、配送まで自動化の波がやってくる時が来ると思います。
その時に高くなっているのか安くなっているのかはわかりませんが、利益がたくさん出て会社が安定していけば皆さんに還元していけるようになりますし、どの会社も頑張りどころなのではないでしょうか。
まとめ
- 全国配送は実質ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便の3社のみ
- どの事業者が欠けても日本の物流は成り立たない
- 送料は上昇の一途。物量も上昇の一途
- 沢山送っても安くならない時代。むしろ総量規制で沢山送れない
- 送料無料は送料を販売価格に織り込む
- 大きくて重いものはいくら以上送料無料としてまとめ買いをお願いする
現在の物流が如何に難しい状況にあるのかがわかってきました。これからどのように変化していくのかを見守りつつ、事業者にとっても消費者にとってもいい物流が構築されていくといいですね!