標準体重でも栄養不足になることはある
愛犬や愛猫の体重が標準範囲に収まっていると、栄養状態は良好と考えてしまうかもしれませんが、体重が標準だからといって、必要な栄養素を十分に摂取できているとは限りません。
体重だけでは栄養状態は分からない
体重の増減は主に摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスによって決まります。
しかし、エネルギーが足りていても、必要な栄養素まで十分に摂取できているとは限りません。そのため、体重の数字だけでは必要な栄養素が十分に満たされているかどうかは分かりません。
このように、体重は栄養状態を判断する一つの目安に過ぎません。
どんなときに栄養不足が起こる?
食事の栄養バランスが偏っている
栄養不足は、「食べる量が少ない」ときだけに起こるわけではありません。十分な量を食べていても、食事の内容が偏っていると、必要な栄養素が不足することがあります。
例えば、手作り食ではレシピによって栄養バランスが偏ることがあり、カルシウムや微量ミネラル、特定のビタミンなどが不足する場合があります。また、おやつの割合が多くなると、カロリーは十分でも、摂取すべき栄養素が不足することがあります。
好きなものだけを与える・食べる偏食が続くと、必要な栄養バランスが崩れ、栄養不足につながる可能性があります。
食べていても栄養が不足することがある
慢性的な下痢や消化器の病気などでは、食事から摂取した栄養を十分に吸収できず、必要な栄養素が不足することがあります。
また、子犬・子猫の成長期や妊娠・授乳期では、通常より多くの栄養が必要です。そのため、食事量が十分に見えても、必要量に対して栄養が不足している場合があります。
このように、栄養不足は食べる量だけでなく、栄養を十分に吸収・利用できているか、必要な栄養量を満たしているかも大きく関係します。
体重以外で確認したいポイント
筋肉量
体重が変わらなくても、筋肉量が減っていることがあります。
例えば、筋肉が減る一方で体脂肪が増えると、体重はほとんど変わらない場合があります。そのため、体重だけでは体の状態を正確に判断できません。
動物病院では、体脂肪の状態を評価するBCS(ボディコンディションスコア)に加え、筋肉量を評価するMCS(マッスルコンディションスコア)を確認することがあります。筋肉量の低下は、加齢や病気だけでなく、たんぱく質やエネルギーの不足が関係する場合もあります。
毛並み・皮膚・活動性
栄養状態は、体重以外にも日頃の様子に表れることがあります。
例えば、毛づやが悪くなったり、フケが増えたりするほか、元気がなく疲れやすい、便の状態が安定しないといった変化が見られることがあります。
ただし、これらは栄養不足だけで起こるものではなく、皮膚病や内臓の病気など、さまざまな原因が考えられます。
そのため、体重が標準でも気になる変化が続く場合は、食事だけで判断せず、獣医師に相談し、必要に応じて健康状態を確認することが大切です。
栄養不足を防ぐためにできること
総合栄養食を基本にする
毎日の食事の基本は総合栄養食です。総合栄養食は、そのフードと水だけで必要な栄養をバランスよく摂取できるよう設計されています。
一方、おやつや一般食、副食の割合が多くなると、カロリーは足りていても必要な栄養素が不足することがあります。栄養不足を防ぐためにも、主食には総合栄養食を選ぶことが基本です。
給与量を守る
栄養バランスの良いフードでも、給与量が適切でなければ必要な栄養を十分に摂取できません。
給与量は、年齢や体重、活動量、避妊・去勢の有無などによって変わります。パッケージの給与量を目安にしながら、愛犬・愛猫の体型や体重の変化を見て調整することが大切です。
また、食欲が落ちて食事量が減っている場合は、体重が大きく変わる前でも栄養不足が始まっている可能性があります。愛犬・愛猫が食べている量の変化にも日頃から注意しましょう。
定期的に体型だけでなく筋肉量も確認する
日頃から、体重だけでなく体型や筋肉量もあわせて確認することが大切です。
自宅では、肋骨や腰のあたりを触って体型の変化を確認したり、歩き方や立ち上がり方、活動性などを観察したりする習慣をつけましょう。
また、健康診断ではBCS(ボディコンディションスコア)やMCS(マッスルコンディションスコア)を確認してもらうことで、体重だけでは分かりにくい変化に気づける場合があります。早めに変化を見つけることが、適切な栄養管理につながります。
まとめ
体重が標準だからといって、必要な栄養素が十分に満たされているとは限りません。
犬や猫の体重は主にエネルギーバランスを反映するため、栄養状態を判断するには体重だけでなく、筋肉量や毛並み、活動性などもあわせて確認することが大切です。
また、栄養不足は食事の偏りだけでなく、消化・吸収の低下や、成長期・妊娠・授乳期など栄養要求量が増えることでも起こる可能性があります。
愛犬・愛猫の健康を維持するためには、総合栄養食を基本に、適切な給与量を守り、体型や筋肉量の変化を定期的に確認することが重要です。体重だけにとらわれず、日頃の様子も含めて健康状態を見守っていきましょう。





